研究概要 |
本研究は、(1)古条挿木苗を用いて,新梢の基部2,3芽を残して伐採後の再生長と根のサイトカイニン含量との関係,(2)水耕栽培の実生苗を新梢伐採時に残葉と残条処理を行い,あおの後の再生長と根のサイトカイニン含量との関係,(3)古条挿木(水挿し)の発芽・発根と挿穂のサイトカイニン含量の変化との関係,を検討した. (1)無伐採(対照)の場合,株.根のZ(ゼアチン)含量は同様であったが、ZR(ゼアチンリボシド)含量は主根>株>側根の順に,IPA(イソペンテニルアデノシン)含量は側根>主根>株の順になった.伐採の場合,Z・IPA含量では側根>主根>株の順が,ZR含量は株>主根>側根の傾向が認められた.IPAとZRの含量では無伐採のそれより少なくなる時期があった. (2)再生長は伐採後の初期には残存器官の少ない区ほど促進されたが,後期にはそれが逆転した.伐採各処理区の主・側根のZ含量は対照区のそれより多くなったのに対して,ZRとIPA含量は対照的区それより少なくなった.Z含量の変化は伐採区と摘葉区が類似の推移を示し.残葉区のそれは対照区に近い傾向を示した.また,摘葉・伐採両区のZR含量が少なく,残葉区のそれが多くなる傾向を示した.側根における各処理区間のZR含量の差は主根のそれより小さくなった.各処理区のIPA含量はZとZRと異なり側根が主根より多くなった.(3)挿木の発芽・発根は,挿穂のサイトカイニン含量が多い先端部が発芽が早く,それが少ない基部は発根とその生長が促進された.また,先端部の新梢生長が停止したのは発根生長がみられなかったからであり,これはサイトカイニンとオーキシンのバランスが基部の挿穂で最も適正であったことを示している.
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