配分額 *注記 |
6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
1994年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1993年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1992年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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研究概要 |
本研究は,アレルギー誘発物質である抗原特異的なIgE抗体の産生機構を解明することを最終目標とし,牛乳アレルギーの主要な原因物質であるβ-ラクトグロブリンの25から40領域に特異的なB細胞の分化過程をエフェクター細胞であるT細胞の機能と相関させながらクローンレベルで解析を行った.すなわち,25-40領域を1)蛋白質に含まれる場合,2)キャリアーに結合した場合,3)ペプチドの場合とそれぞれ異なる形態で免疫することにより,相互作用するT細胞レパートリーを変化させた.そしてT細胞レパートリーの変化が、選択されるB細胞レパートリーおよびそのクラススイッチやアフィニティーマチュレーションの特徴にどのような影響を及ぼすのかについて検討を加えることによって,抗体産生応答に及ぼすT細胞の役割をクローンレベルで解析することに成功した.その結果,ペプチドで免疫した場合には,1),2)の免疫原に比べIgGクラススイッチを起こりにくくなっていた.さらにB細胞レパートリーを解析した結果,J558というファミリーに属するVH遺伝子を使用しており,1),2)の免疫原とは異なるB細胞レパートリーが選択されていた.以上の結果から,選択されるB細胞レパートリー及びそのクラススイッチにおいて,相互作用するT細胞レパートリーの性質が大きな役割を果たしている可能性が示唆された。そこで次に,T細胞によるB細胞レパートリーの選択およびクラススイッチ誘導の調節に大きな役割を果たしている可能性のあるMHC class II分子とT細胞レセプターとの結合が,B細胞の活性化にどのような役割を果たしているのかについて検討した.その結果,MHC class II分子からの刺激が直接的にB細胞に作用し,IgG抗体産生を増強していることが明らかとなった.このとこから,T細胞によるB細胞レパートリーの選択およびクラススイッチ誘導の調節においてMHC class II分子からの刺激が重要な役割を果たしている可能性が示唆された.
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