研究概要 |
フーリエ変換画像処理法におけるPre-FFTとPost-FFTの諸問題を解決し,木材形態の精密な定性および定量法を実用段階に到達させた。 (1)木材形態の円柱座標解析:木材は円筒状の形成層で生産されるので,木部の組織は円柱状に配置することになる。そこで通常の直交座標系に加えて円柱座標系を導入し,精密な定量解析に際しての両者の影響を検定し,相互に変換できるシステムを考察した。 (2)パワースペクトルパターンの視覚的解読による樹種の特徴抽出:日本産を中心とする多数の木材の木口断面について,まず基本組織である仮道管と木部繊維の分布の特徴抽出に成功した。さらに広葉樹を特徴付ける道管の分布の樹種的特徴抽出にも成功した。そして天然生産物である木材の組織が,多くの,意外に整然とした周期構造を内包していることを明かとした。 (3)パワースペクトルパターンの特徴抽出法:周波数倍率の考案により,パワースペクトルパターンに現われる多数のスポットの方位と距離を迅速に読みとることに成功し,樹種的特徴を数値的に解読した。さらに,道管や木部繊維を抽出すると,逆の意味で,それらから排除された放射組織や軸方法放射組織などの分布を,検出できることが明かとなった。この方法の活用で,今後非常に多数の形態的特徴の抽出が期待される。 (4)パワースペクトルパターンの極座標解析:天然生産物に必然的な曖昧な周期性について,その定量解析と,樹種的特徴抽出に成功した。またこの手法を,X線回折や電子回折法で得られた回折パターンの定量解折に導入し、細胞壁の高次構造解析に活用した。 (5)相関法の導入による特徴抽出と3次元解析:パワースペクトルパターンでは形態情報は周波数表現されて,解読に訓練を要する。そこで自己相関関数を導入して,木材の特徴の解読を容易にした。また連続切片間の類似性の検定に相互相関関数などを導入することで,木材の形態要素の3次元解析法を模索した。
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