研究課題/領域番号 |
04454135
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡本 治正 東京大学, 医学部・(医), 助教授 (40134283)
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研究分担者 |
高橋 國太郎 東京大学, 医学部・(医), 教授 (10010034)
見学 美根子 東京大学, 医学部・(医), 日本学術振興会特別研
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
1993年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1992年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | 神経誘導 / bFGF / 情報伝達 / アフリカツメガエル / プロテインキナーゼC / スタウロスポリン / オーガナイザー |
研究概要 |
本研究の目的は、脊椎動物における神経系の発生、特にその初期過程の分子・細胞機構について解析を進めることにあった。中枢および、末梢両神経系の発生機構については、Spemann学派による胚葉片移植を中心とした実験発生学的研究により、背方外胚葉を裏打ちする背方中胚葉の作用による事が明らかにされ、"神経誘導"として知られている。しかし、"神経誘導"現象が最初に報告されてから既に半世紀以上経過し、多くの実験が積み重ねられてきたにもかかわらず、"神経誘導"信号をになうべき物質の化学的本体について、今日にいたるまで明確な解答は得られていない。 我々は既に、アフリカツメガエル初期嚢胚の未分化外胚葉細胞と中胚葉細胞から出発する初代ミクロ培養系において一連の神経誘導・分化過程を再構成する新しい手法を確立していた。そこで本研究では更にこのミクロ培養系を用いて、様々な神経誘導物質候補をスクリーニングした。その結果、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)が生理的有効濃度範囲(5-25pM)で嚢胚背方中胚葉細胞の神経誘導作用を代行し、未分化外胚葉細胞から中枢神経系ニューロンと末梢性の神経冠系統の色素細胞の両者を誘導分化させる事を明らかにした。またニューロン、色素細胞のどちらかが誘導されるかは、培養した外胚葉細胞の発生段階により異なり、嚢胚初期の外胚葉細胞からはニューロンが、中期の外胚葉細胞からは色素細胞が誘導される事、更にbFGFにより外胚葉細胞からニューロンが分化する場合と、色素細胞が分化する場合とではbFGFの細胞内情報伝達機構が異なっている事も示した。他方bFGFおよびその受容体がツメガエル初期胚に存在することは既に報告があり、本研究で示された結果はbFGFが正常発生過程において背方中胚葉細胞に由来する神経誘導物質の一つである可能性を提起する。
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