研究課題/領域番号 |
04454136
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高井 章 名古屋大学, 医学部, 助教授 (50126869)
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研究分担者 |
徳納 博幸 名古屋大学, 医学部, 助手 (60155520)
富田 忠雄 名古屋大学, 医学部, 教授 (50078763)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
1993年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1992年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | 平滑筋 / プロテインホスファターゼ / オカダ酸 / 酵素阻害剤 / 蛋白質燐酸化 / 筋収縮 / 好中球 / 細胞運動 |
研究概要 |
(1)プロテインフォスファターゼ(PP)阻害剤の一つであるオカダ酸(OA)の健常平滑筋標本に対する収縮抑制作用の発生機序の解明に取組み、次のような知見を得た:(a)OA前処理で収縮性が減弱〜消失した平滑筋標本では、各種の収縮刺激に伴うミオシン軽鎖(MLC)の燐酸化上昇も著しく減少する。(b)OA前処置は、標本中のMLCキナーゼ(MLCK)活性を有意に減少させる。また、(c)いったん減少したMLCK活性は、組織抽出液を精製した2A型PPで処理すると、部分的ながら有意に回復する。つまりMLCKが別のキナーゼにより燐酸化を受け、それにより活性抑制を受ける可能性がある。 (2)ヒト好中球において、その遊走能、食作用などに関して重要な細胞内アクチン重合を引き起す各種物質の効果が、OAによりどのように修飾されるかを検討した。その結果、OAは、ホルボールエステル、血小板活性化因子(PAF)、Leukotoriene B4の投与によるアクチンの重合とそれに伴う細胞形態変化は完全に消失させるが、走化性ペプチドfMLPや抗体結合チモザンによる反応には有意な変化を起さないことが判明した。これらの知見は、各種の刺激による好中球の活性化の過程に、燐酸化の関与する複数の経路の存在することを示唆する。 (3)十数種類のOA誘導体を用い、この物質のPP抑制に関する構造-活性相関を定量的に検討した。その結果、OA分子内の特定の官能基が修飾ないし除去されると、酵素阻害作用が著しく減弱ないし消失することがわかった。また、今回の実験のために用意した各種のOA誘導体のうち、27-デヒドロ体では、OAに比べ、1型および2A型PPに対する解離定数が、それぞれ40倍と230倍大きくなるのが観察された。この親和性の低下は、結合エネルギー変化に換算して、ちょうど水素結合1個分の減少に相当するので、酵素阻害に当り、OAの27位の水酸基が、酵素蛋白のどこか供電子的な部位と結合する可能性がある。
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