研究課題/領域番号 |
04454146
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境生理学
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
山下 博 産業医科大学, 医学部, 教授 (00030841)
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研究分担者 |
長友 敏寿 産業医科大学, 医学部, 助手 (50258604)
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 助手 (10232745)
稲永 清敏 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (90131903)
河南 洋 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (00049058)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1994年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1993年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1992年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | サイトカイン / 視索上核 / 室傍核 / 自律神経 / インビボマイクロダイアリーシス / 遺伝性多飲マウス / ラットアジュバンド関節炎 / 視床下部・下垂体・副腎皮質系 / 遺伝多飲マウス / 免疫異常 / ラットアジュバント関節炎 / c-fos蛋白 / バゾプレッシン / mRNA / 視床下部 / ストレス |
研究概要 |
本研究は視床下部ニューロンの免疫系サイトカインに対する応答特性を解析すること、さらにサイトカインの作用部位および神経内分泌系への作用経路を解明することによって免疫系から中枢神経系へのシグナル伝達機構を明らかにすることを目的として、以下のような多面体なアプローチにより研究を行った。(1)視床下部ニューロンに対するサイトカイン及び神経ペプチドの直接作用(2)サイトカインの中枢神経系を介する自律神経系への影響(3)インビボ・マイクロダイアリシス法による室傍核領域のモノアミン動態の研究(4)免疫異常動物の液性情報の変化の検索。結果:(1)IL-1βによって視索上核ニューロンは脱分極を伴った放電活動の増加反応ばかりでなく、過分極を伴った放電活動の抑制が観察された。前者の反応はサリチル酸によってブロックされたことから、プロスタグランディン系の関与が示唆された。後者の反応はGABAA受容体拮抗剤であるビククリンを含む灌流液中で消失したことからGABAによる抑制性入力によることが示唆された。(2)覚醒ラットの静脈内にIL-1βを投与すると体温上昇に先行して、心拍数増加、血圧上昇と腎交感神経活動の増加、及び血液中ノルアドレナリンとACTH濃度も増加した。インドメサシンの前投与によりこれらの反応は完全に抑制され、IL-1βによる心血管系と交感神経反応がプロスタグランディン系を介しているとこが明らかとなった。(3)ラットの静脈内にIL-1βを投与すると、室傍核領域の一過性のノルアドレナリン(NA)量の減少、それに続く増加傾向が観察された。これらの反応はインドメサシンの前投与により消失した。また、頚動脈洞除神経ラットではIL-β投与による一過性のNA量の減少反応が消失した。これらの結果は、IL-1βの種々の効果の発現に脳内ノルアドレナリン系が関与していることを示唆する。(4)遺伝性多飲マウスではコントロールのICRマウスに比してヘルパーT細胞/サプレッーサーT細胞の比が低く、またT細胞マイト-ジェンであるコンカナバリンAに対する増殖反応性が低かった。無処理あるいは拘束ストレス下での血漿ACTHとcorticosteroneの反応性はコントロールマウスと同じであり、このマウスで認められた免疫系之異常は視床下部・下垂体・副腎皮質系以外の神経・内分泌系の異常により惹起されている可能性が示唆された。Lewisラットアジュバンド関節炎発症に伴って、発熱、摂食、飲水行動の抑制、視床下部・下垂体・副腎皮質系と交感神経の活性化が起こることが明らかになった。これらの変化に同期して、脳室周囲器官である終板器官、孤束核や視床下部(内側視索前野、室傍核など)にc-fos蛋白の発現が認められた。
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