配分額 *注記 |
7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1993年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1992年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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研究概要 |
X線結晶解析が完成したアスパラギン酸アミノ基転移酵素(AspAT)の蛋白質工学を中心に,芳香族アミノ酸(AroAT),分岐鎖アミノ酸(BrAT)の各アミノ基転移酵素についての研究を加えて,基質特異性や効率的な反応進行に働いている分子設計をさぐってきた。得られた成果を以下に記す。 AspAT:1.Asp222,補酵素ピリドキサール燐酸(PLP)をつなぎ留め,同時にそのピリジン環Nの正荷電を安定化してPLPの「電子溜め」効果を強めている。2.Asn194,基質のα-COOH基を結合するArg386を適正な位置に固定するとともに,Arg386からPLPの3′-(0)へと続く水素結合網を形成することによって電子分布を調節し,トランスアルジミネーションを効率よく行わす役を演じている。3.Arg292とArg386,Arg292は基質ジカルボン酸のω-COOH基を認識している。この2残基に基質が結合すると,活性中心を外界から遮閉するように酵素分子のコンホメーションが変化し,さらにArgの正電荷が中和されることによって,近傍の触媒基であるLys258の塩基性が高まり,後続の反応(トランスアルジミネーション)の進行に都合の良い環境ができる。 AroAT:大腸菌体内で酵素の大量生産系を確立。精製酵素の性質を調べた。AspATと基質特異性が重複,酸性アミノ酸に対しては〓度,芳香族アミノ酸に対しては三桁高い活性を示す。芳香環の認識部位はArg292の近傍で,より疎水性で〓。Arg386とAsn194はAspATにおけるのと同じ役割を果たしている。 BrAT:X線結晶解析が重原子置換を行える段階にきた。基質のα-プロトンの引き抜きの過程での立体特異性がD-アミノ酸アミノ基転移酵素と同じであり,その他のアミノ基転移酵素とは異るグループに分類されるという,興味深い結果が得られた。
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