研究概要 |
本研究の目的は炎症反応における各種サイトカインの関与を明らかにし,炎症の制御にこの知見を応用することにある。細菌毒素を用いた関節炎モデルでは抗TNFと抗IL-1を用いて,炎症反応の著明な低下があり、TNFとIL-1を組み合わせると炎症をおこすことができることが判かり,両サイトカインが炎症反応局所において必須のサイトカインである事が判かった。現在,他の炎症モデルを用いて両サイトカイン相互の関係を検討中であるが,TNFが一義的であるという予備的結果を得ている。このTNF産はT細胞亜集団Th_1によって産生されるインターフェロンγによって増強される。この結果はマウスのマラリア肝炎の実験から明らかになった。この実験ではインターフェロンはマラリアの病態を治癒に向かわせると同時に炎症反応を増強して肝細胞の死をおこさせる働きがあり,肝炎治療に極めて重要な鍵をにぎるサイトカインであり,発熱の内因性因子としてのTNF産生増強因子としての活性も強いことが判かり,炎症発熱の調節因子として作用していることが明らかになった。このインターフェロンは上述Th_1細胞から分泌される.すなわち免疫反応との関連において考えれば,炎症反応を調節しているのはT細胞亜集団の活性化であることがわかる.T細胞の活性化は抗原提供細胞由来の第2シグナルによって調節されているが,本研究の成果としてIL-12はTh_1をIL-1はTh_2を活性化する第2シグナル活性を持っていることが明らかになった。つまり,炎症におけるサイトカインカスケードは抗原提供細胞から産生されるIL-12に始まり,インターフェロンγ,TNFへと連がる.この間にIL-1が大食細胞によって産生され,これがTNFの作用を修飾していることになる。このカスケードを断つ上で重要な鍵を持つのはインターフェロンγであると考えられる.
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