研究課題/領域番号 |
04454238
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内科学一般
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
坂根 剛 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (40127519)
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研究分担者 |
鈴木 登 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 講師 (40235982)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1993年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1992年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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キーワード | 全身性エリテマトーデス / ループス腎炎 / 陽性荷電抗DNA抗体 / 胚細胞型遺伝子 / 突然変異 / 抗原特異的抗体産生 |
研究概要 |
全身性自己免疫疾患の原型である全身性エリテマトーデス(SLE)は多彩な症状を示すが、なかでも腎障害は生命予後に関わる警戒すべき病型である。本研究ではまず、ヒトループス腎炎の発症に陽性荷電抗DNA抗体が密接に関わっていることを明らかにした。すなわち、1.ループス腎炎患者では陽性荷電抗DNA抗体を認めたが、腎炎を欠くSLE患者では陽性荷電抗DNA抗体を認めない。2.同一症例の検索でもループス腎炎発症時には陽性荷電抗DNA抗体を認めたが、治療によって症状が軽快すると陽性荷電抗DNA抗体は消失した、3.ループス腎炎患者の陽性荷電抗DNA抗体は中性抗DNA抗体よりも腎糸球体基底膜を構成するヘパラン硫酸に明らかに強く結合した。これらの成績はヒトSLEでも陽性荷電抗DNA抗体がループス腎炎の病態形成に関連することを支持している。次にループス腎炎患者の陽性荷電抗DNA抗体の遺伝子解析を行った。その結果、ループス腎炎患者由来の陽性荷電抗DNA抗体軽鎖遺伝子(cDNA)には抗原結合部位である相補決定部(CDR)領域に複数の突然変異が生じており、またCDR3領域にはDNAに結合するアミノ酸を多数含んでいた。この成績は病原性自己抗体の産生には抗原特異的な刺激が重要であることを示唆している。またSLE患者の陽性荷電抗DNA抗体の軽鎖遺伝子mRNAは抗DNA抗体産生B細胞でもっぱら使用されていた。さらに患者女子中球DNAより単離した陽性荷電抗DNA抗体に対応する新しい胚細胞型遺伝子産物の計算上の等電点はきわめて高く、自己抗体の病原性はヒトSLEでは胚細胞型Ig遺伝子の選択によって規定されていることがわかった。さらにこの胚細胞型遺伝子はSLE患者に特異性が高く、今後のSLEの遺伝子診断、遺伝子治療に寄与するものと考える。
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