配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1994年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1993年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1992年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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研究概要 |
私達は,C型肝炎の肝細胞障害機序を細胞性免疫の面から明らかにする目的で,C型肝炎ウイルスコア抗原に特異的なT細胞の誘導行い,解析を進めた.C型肝炎ウイルス感染患者抹消血リンパ球を抗原ペプチドで刺激することにより,特異的細胞障害性T細胞が存在することを明らかにし,HLA B44拘束性C型肝炎ウイルスコア抗原特異的細胞障害性T細胞がコア抗原アミノ酸88-96のエピトープを確認することを証明した.更に,C型肝炎ウイルス特異的ヘルパーT細胞エピトープが存在し,細胞障害性T細胞の分化,誘導を促すことも明らかにした.C型肝炎ウイルスコア抗原アミノ酸88-96はアミノ酸91を除きウイルス間で非常によく保存されており,91位のアミノ酸も同じ遺伝子型の中ではよく保存されている.異なる遺伝子型に属するC型肝炎ウイルス株に相当する抗原ペプチドを作製し,HLA B44拘束性C型肝炎ウイルスコア抗原特異的細胞障害性T細胞による認識を検討し,特異的細胞障害性T細胞が誘導されるのは遺伝子型II/1bとIII/2aのコア抗原ペプチドによるリンパ球の刺激によってであり,遺伝子型I/1aおよびIV/2bの抗原ペプチドでは誘導できないことを明らかにした.また,特異的細胞障害性T細胞の抗原ペプチド認識も同様であった.しかし,遺伝子型I/1aのまれな変異型で94位のアミノ酸変異を来したC型肝炎ウイルス抗原ペプチドは,特異的細胞障害性T細胞を誘導することが明らかになった.本研究の成果は,C型肝炎の発症機序の解明だけでなく,細胞障害性T細胞を誘導するワクチンのデザインにおいて重要と考えられる.
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