研究概要 |
1.擬常染色体領域に存在する身長決定遺伝子座位の決定 われわれは,有意の低身長とX染色体構造異常を有する女児のDNA解析から,身長決定遺伝子をX染色体短腕とY染色体短腕の相同領域である擬常染色体領域の遠位部にマップした。その後、擬常染色体領域の部分欠失を有する6例の患者検体を各国から入手し,その遺伝子型-表現型分析に基づいて,成長決定遺伝子をDXYS20-DXYS15の約500Kbの領域に限局した。さらに,性色体異常症患者の最終身長が,擬常染色体領域およびY特異的領域に存在する成長遺伝子の量効果と染色体不均衡による成長抑制効果の程度により決定されることを明らかにした。なお,この擬常染色体領域の成長決定遺伝子をポジショナルクローニングするため,既にDXYS20-DXYS15領域に存在するCpG islandを含む約200-300KbのサイズのYACを獲得し,その解析を開始していることを付記する。 2.原因不明の体質性小人症患者におけるDNA解析 われわれは,一般集団および両親身長に比し明らかな低身長を有し,かつ,内分泌的およびレ線的に正常で原因不明の体質性小人症と最終診断した約30例の患者を対象として,上述のDXYS20-DXYS15領域の欠失の有無を検討し,これらの患者において,明らかな欠失が存在しないという結果を得た。今後,症例を増やして検討すると共に,身長決定遺伝子がクローニングされたとき,これらの患者において遺伝子内変異解析を行なう予定である。
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