配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1994年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1993年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1992年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
|
研究概要 |
先年度までに一次元および二次元超微量電気泳動法と,それ等を応用するmicor-West-ern bot法を完成した.この方法を用いて,種々の神経系特異蛋白質について解析を行った.病的な材料としては網膜脈絡膜炎の微小組織片を分析した.1)S-antigen(SAg,実験的自己免疫性網膜脈絡膜炎誘発蛋白質):micro-Western blot法を用いて,網膜と眼組織内のSAgの分布を定量的に明らかにした.本年度はSAgにより惹起された炎症網膜や眼組織内で,SAgがどの様に変化するかを調べた.網膜のSAgは炎症の最盛期(SAg注射後14日)に対照の2.6%に減少し,回復とともに(SAg注射後28日)29%に回復する.脈絡膜でも同様の変動を示し,炎症最盛期には毛様体と松果体に有意濃度のSAgが見出された(加藤).2)超微量二次元電気泳動法により,glucose transporter 1(GLUT1)蛋白質が,赤血球膜に較べて脳では糖化の度合いが少なく,またmicro-Western blot法により,小脳の内顆粒層にNOS(一酸化窒素合成酵素)の内神経細胞性NOS(nNOS)と血管上皮細胞性NOS(nNOS)を見出した.発達分化する小脳外顆粒層にはeNOSが多く存在し,RT-PCRでもeNOSのmRNAが主であった(井上,中山,加藤).3)小脳の初代培養顆粒細胞には,nNOSのmRNAがRT-PCRにより証明されるが,その活性は著しく低く,活性を持たない蛋白質の可能性がある(井上,加藤).4)鶏胚網膜組織の培養細切片から伸展する神経節細胞の神経突起に,シナプス特異的蛋白質であるsyntaxinの抗体やそのantisense DNAを取り込ませると,成長円錐の発芽成長が促進され,この膜蛋白質が神経細胞の原形質膜を安定化させ,成長円錐からの発芽を制御していると考えられる(中山).5)既に見出したラット小脳が発達する特定の時期に発現する蛋白質V1とLANP(leucine-rich acidic nuclear protein)の特性を明らかにし,またウシ脳内のマンノース型オリゴ糖蛋白質であるcalreticulinの構造を解析した(磯部).
|