研究課題/領域番号 |
04454333
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
塩崎 均 大阪大学, 医学部, 講師 (70144475)
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研究分担者 |
竹市 雅俊 京都大学, 理学部, 教授 (00025454)
松井 成生 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
岩澤 卓 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
田村 茂行 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
井上 雅智 大阪大学, 医学部, 助手 (80232560)
門脇 隆敏 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
土岐 祐一郎 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1994年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1993年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1992年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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キーワード | 癌浸潤転移 / E-カドヘリン / α-カテニン / β-カテニン / チロシンリン酸化 / EGF / EGFR / E-cadherin / α-Catenin / β-Catenin / 癌転移 / 細胞間接着因子 / カドヘリン / カテニン |
研究概要 |
ヒト食道癌における転移浸潤機構を細胞間接着因子であるE-カドヘリン(ECD)を中心に研究した。ヒト食道癌培養株(TE-2)からECD(+)株と(-)株を樹立し、両者を比較した。細胞間接着能はECD(+)細胞のほうが強く、遊走能はECD(-)株のほうが高かった。ヒトECDモノクロナール抗体(HECD-1)の添加はECD(-)株の遊走能には影響を与えなかったが、ECD(+)株の接着を抑制し、遊走能を亢進させた。以上のことからECDの減弱及び消失は癌細胞の遊走能、浸潤能を亢進させると考えられた。されにEGFのEGFRを介する作用がECD-αCATという細胞間接着系に与える影響を同様の実験系を用いて検討し、以下の結果を得た。 1,Cell aggregation assay:ECD(+)細胞を軟寒天上で培養すると細胞は集合し球型を呈するが、EGFを添加すると細胞は単層の小集塊を形成するにすぎない。ECD(-)細胞はfibroblast様を呈し変化がない。 2,ECDの発現性の変化:ECD(+)細胞はECDを細胞膜に限局し強く発現するが、EGF添加によりECDの発現は細胞膜に限局せず細胞内に広く分布する。 3,Invasion assay:線維芽細胞を含んだコラーゲンゲル上でECD(+)細胞を培養するとゲル上で細胞は重層化する。EGFを添加すると細胞はゲル中に浸潤する。ECD(-)細胞は単層に増殖しゲル中に浸潤する。EGF添加によっても影響を受けない。 4,Immunoblot analysis:EGFを添加したECD(+)細胞をECDの抗体(HECD-1)で免疫沈降しチロシンリン酸化を調べると、βカテニンにチロシンリン酸化を認めた。このように、EGF-EGFRの反応がカドヘリン-カテニン系へ影響を及ぼし、その細胞間接着機能に異常をきたしたものと考えられた。またヒト食道癌組織における免疫組織学的検討ではECDとその膜裏打ち蛋白であるαカテニンの発現が減弱すると、リンパ節転移を高頻度に生じ予後不良であった。 [総括]ヒト食道癌の転移浸潤においてはECDやαカテニンの減弱さらにEGFによるβカテニンのチロシンリン酸化などの細胞間接着機能の障害が関与していることが示唆された。
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