研究概要 |
(1)モヤモヤ病由来の血管平滑筋細胞(SMC)の^<125>I-PDGFbinding,及び,processing,更にPDGF receptorのdown-regulationについて比較検討した。モヤモヤSMCでは,対照に比し,有意に単位細胞あたりのPDGF receptor数が減少していた。また,低濃度のPDGF処理によって,モヤモヤSMCでは,有意にdown-regulationが取り易いことが明らかとなった。また,TGF-B_1,及びPDGF共存下における反応性について検討した。モヤモヤSMCの1 strainでは,TGF-B_1の反応性が異なり,PDGF receptorの発現もTGF-B_1により減少した。またWecten-immunoblotによりPDGFによるtyrosine kinaseの燐酸化,及び,PDGF receptorのdown-regulationについて検討し,興味ある結果が得られた。(2)血管内皮細胞については,大網より培養細胞の樹立をおこなった。 clomingを重ねることにより樹立が可能であり,今後例数を増やし,対照との比較を行なう。(3)in vitroでの血管病変の病態を明かにするために,モヤモヤ病患者頭皮血管の形態学的観察を行った。その結果,小児例の血管にも内膜肥厚が頻繁に認められ,しかも,頭蓋内狭塞部血管の病理組織像と酷似する所見が得られた。また電顕による観察から,モヤモヤ病においても中膜平滑筋細胞の遊走増殖が内膜肥厚をもたらすことが明かにされた。免疫組織学的検討を加え,この事実の証明も行った。(4).また,モヤモヤ病発症の遺伝的背景を明かにするために,孤発30例に対し,HLA typingを行ない,対★例との比較を行なうことにより,興味ある結果が得られた。
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