研究課題/領域番号 |
04454362
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
森 昭胤二 (森 昭胤) 岡山大学, 医学部, 教授 (20028434)
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研究分担者 |
筒井 公子 岡山大学, 医学部, 助手 (70144748)
水川 公直 岡山大学, 医学部, 講師 (40137154)
大本 尭史 岡山大学, 医学部, 教授 (60032900)
横井 功 岡山大学, 医学部, 助手 (80150366)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1993年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1992年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | 外傷性てんかん / 鉄イオン誘導てんかん焦点 / スーパーオキシド / ヒドロキシルラジカル / 一酸化窒素 / スーパーオキシドジムスターゼ / α-グアニジノグルタル酸 / アデノシン / スパーオキシド / 遷移金属 / エピガロカエキン / ドーパミンニューロン / 酸化窒素ラジカル / 硝酸イオン / 亜硝酸イオン / 活性酸素種 / フローインジェクション法 / セカンドメッセンジャー / 血管拡張因子 |
研究概要 |
1.正常脳組織はスーパーオキシド(O2)やヒドロキシルラジカル(・OH)に対して強い防御力をもっているが、過剰の鉄イオンなど何らかの原因により細胞の環境の変化がおこればフリーラジカル消去能が低下し、フリーラジカルによる神経細胞障害がおこり、てんかん原性焦点が形成される。 2.ラット脳に鉄イオンを注入するとO2や・OHが発生することはすでに明らかにしてきたが、同時に一酸化窒素(NO)合成酵素(NOS)の活性が低下することを見いだした。NOはけいれん発現に抑制的に作用しているので、NOS活性低下は外傷性てんかんの成因に関与している可能性がある。また、内因性けいれん物質α-グアニジノグルタル酸(われわれがネコ脳のコバルトてんかん焦点組織内に発見、1980)はNOSの強力な阻害剤であることが明らかになり、α-グアニジノグルタル酸のけいれん誘発作用はNOS活性阻害によるものと想定された。 3.ラット鉄イオン誘導てんかん焦点形成は、ラットを100%酸素下に飼育すると著明に促進される。頭部外傷後の長期にわたる高濃度酸素療法は外傷性てんかん発症を促進させる可能性がある。 4.ラット鉄イオン誘導てんかん焦点組織においてはスーパーオキシドジムスターゼ(SOD)が誘導されて増加している。これは鉄イオンにより過剰発生したO2を消去するための防御機構と考えられる 5.鉄イオン誘導てんかん発作は茶葉成分のエピガロカテキンとその誘導体によって抑制されることを明らかにした。これらの物質は強力なフリーラジカル・スカベンジャーであるので、鉄イオンによって発生したO2および・OHを消去して、奏効すると想定された。また、鉄イオン誘導てんかん発作はアデノシン及びクロール・アデノシンによっても著明に抑制されることがわかった。また、プロプコール、和漢薬(TJ-960)とその有効成分(バイカレイン)、バイオ・ノルマライザーなどの自然食品などにもフリーラジカル消去作用や抗酸化作用が認められるので、これらの知見は抗酸化剤(フリーラジカルスカベンジャー)が、外傷性てんかんの発症予防に有効である可能性を示唆している。 以上のごとく、平成4〜6年度にわたる3年間の研究による、外傷性てんかん焦点形成における活性酸素種の役割はほぼ解明され、外傷性てんかんの発症予防法の1つとして抗酸化剤の応用を提案することができた。
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