研究課題/領域番号 |
04454366
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
永松 信哉 杏林大学, 医学部, 助教授 (80231489)
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研究分担者 |
佐和 弘基 杏林大学, 医学部, 講師 (80135912)
星野 孝夫 Kyorin Univ. Scho. of Med., Neurosurgery, Professor (90010165)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1994年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1993年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1992年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | 脳腫瘍 / 糖輸送担体 / PCR / Northern解析 / cDNAクローニング / 能腫瘍 |
研究概要 |
腫瘍細胞、特に脳腫瘍細胞の増殖能と糖代謝との間には、PET等の結果からも明らかなように、密接な関連性がある。細胞に於ける糖代謝の第一段階は細胞膜を介した促通拡散型の糖輸送であり、これは、glucose transporter(GLUT)と呼ばれる5種類の遺伝子familyからなる膜蛋白質を介して行われている。本研究において、私達は、まず第一に手術的に採取したヒト脳腫瘍組織を用いて、ヒト脳腫瘍に発現しているGLUTの解析を行い、次にラトC6グリオーマ細胞より増殖能の異なる細胞亜株を樹立し、糖輸送、及び糖代謝がグリオーマ細胞の増殖に与える影響について検討した。 ヒト脳腫瘍組織よりRNA及び蛋白質を抽出した、RT-PCR,Westerm blot及びNorthern blotを施行したところ、GLUT1、GLUT3、GLUT4の発現が確認された。各GLUTの抗体を用いた免疫組織学的検討では、検索した全ての症例で、GLUT3が、細胞質、細胞膜に局在していることが認められ、GLUT4は数例の症例のみにて、主に細胞質に局在しており、GLUT1は、主に腫瘍内血管にて認められた。しかしながら脳腫瘍細胞のhistological gradingと、GLUTの発現量及び発現しているisoformとの間には相関性は見いだせなかった。次に私達は、グリオーマの増殖能と糖代謝との関連を明らかにするためにC6グリオーマ細胞を、その増殖能の違いから4つの亜株に分け、それぞれに於ける種々の糖代謝のマーカーを測定した。GLUT1の発現量は、mRNA、蛋白質共に増殖能と正比例関係にあった。糖輸送活性もGLUTと同様に、増殖能の高い細胞で亢進していたが、細胞質内のhexokinaseの活性は、むしろ増殖能の高い細胞で減少していた。更に増殖能が高い細胞では、細胞内のglucose量が著減し、ATP量が上昇しており、グリオーマ細胞の増殖能と、糖代謝とは正比例関係にあることが明らかとなった。最後に私達は、C6グリオーマ細胞にGLUT4を発現させたstable cell lineを作製したところ、本cell lineにおいては、glucose uptakeの上昇及び、増殖能の著しい増加が認められた。以上の結果より、脳腫瘍に発現しているGLUTは、細胞の増殖の制御機能において、重要な役割を果していることが明らかとなった。
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