配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1994年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1993年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1992年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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研究概要 |
後縦靱帯骨化症の成因解明を目的として病因遺伝子を見いだすためのDNA解析を本症の患者家系において実施した。研究初年度は患者10家系40名からリンパ球を分離しHLAハプロタイプによる遺伝解析を行い,患者と同一のHLAハプロタイプを共有する同胞では高率にレ線上の後縦靱帯骨化を認めることを見いだした。これにより,本症にはHLAハプロタイプと連鎖する遺伝的因子が存在すると考え,次年度はこの遺伝子の存在を確認するため,患者家系内における制限酵素断片多型を巨大DNA電気刺激泳動装置を用いて解析した。その結果HLAハプロタイプが一致した患者とその兄弟では第6染色体上の2.7KbのDNA断片に多型がみられることを発見した。そこで最終年度には本症患者と非患者40名について,この第6染色体上の2.7KbのDNA断片の多型の存在を比較した。しかし,この2.7KbのDNA断片多型が本症患者に特有なものであるか否かを明らかにすることは出来なかった。 最終年度はさらに患者と健常者について骨化に関係するとされているアルカリフォスファターゼ(ALP)とBone morphogenic protein(BMP)-2,そしてコラーゲンα2とTissue necrosing factor(TNF)-2の遺伝子多型を解析した。その結果,後縦靱帯骨化症患者にはコラーゲンα2の遺伝子多型が有意差をもって存在することを見いだした。コラーゲンα2は第6染色体上に存在しておりその遺伝子異常は靱帯組織の骨化にも関与する可能性は十分ある。このコラーゲンα2の遺伝子多型が病因遺伝子である可能性が高いが,それを証明するには至らなかった。しかし,本研究は後縦靱帯骨化症に対するDNA解析としては初めてのものであり,本症の成因研究に分子生物学的手法を導入する先駆け的役割を果たすとともに成因解明に近づける成果は十分果たせた。
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