研究課題/領域番号 |
04454385
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
下地 恒毅 新潟大学, 医学部, 教授 (30040158)
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研究分担者 |
穂苅 環 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (10173577)
吉村 恵 久留米大学, 医学部, 講師 (10140641)
藤原 直士 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (70181419)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
1993年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1992年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | 反射性交感神経ジストロフィー / 坐骨神経破壊 / 脊髄スライス / 膠様質ニューロン / 脊髄誘発電位 / 異常増強 / 坐骨神経 / 神経破壊 |
研究概要 |
本研究ではラット坐骨神経挫滅による反射性交感神経ジストロフィー(RSD)モデルラットを用いて、その行動観察およびin vivoおよびin vitroの電気生理学的観察によりRSD発症機序の検索を行った。 Wistar系成ラットをペントバルビタール麻酔下に坐骨神経を露出し、坐骨神経を機械的あるいは化学的に挫滅・破壊した坐骨神経破壊群と坐骨神経を傷害しない疑似手術群に分け、経日的に行動観察を行った。坐骨神経破壊群では、下肢噛みつき反応、下肢異常肢位 下肢異常運動等の異常行動が観察された。異常行動の時期は、操作後早期に発生し、徐々に消失する動物、2〜4週間後から徐々に出現する動物と様々であった。これらヒトRSDに類似した病態は、疑似手術群では観察されなかった。 成ラット脊髄スライス標本を用いた脊髄膠様質細胞、側角細胞からの細胞内記録において、正常ラットでは、後根から膠様質ニューロンへの単シナプス性入力はAδとC fiberに限られており、Aα/β fiberからの単シナプス性入力は検出されず少数の膠様質ニューロンでAα/β fiberからの多シナプス性入力が認められるのみであった。一方、RSDモデルラットではAδとC fiberの単シナプス性入力に加え、多数の膠様質ニューロンでAα/β fiberからの多シナプス性入力が認められ、刺激後のrepetitive firingも観察された。また、少数ではあるが、Aα/β fiberからの単シナプス性入力によると考えられる電位が検出された。 腰部脊髄L4/5背面からの異分節性脊髄誘発電位、後根電位、側角ニューロン活動の細胞外記録では、約半数のRSDモデルラットにおいて分節性脊髄誘発電位のP1成分には有意の変化は認められなかったが、N1,P2成分に振幅の増加、P2成分の持続時間の延長が観察された.これは、臨床におけるRSD患者の誘発電位異常増強に類似したものと考えることができる.後根電位も同様の増強、延長を示した.誘発電位異常増強の認められるRSDモデルラットでは非侵害刺激と思われる弱い刺激強度によっても侵害刺激と同様の発火頻度増加が認められた。 以上より、RSDモデルラットでは膠様質及び側角ニューロン活動の異常増強現象が存在すること、また、この異常増強現象には脊髄より上位の中枢が関与していることも示唆された。
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