研究概要 |
完全静脈麻酔のクローズドループコントロールシステムを実現させることを目的とし以下の4つのサブシステムの開発を行った。 1.麻酔深度定量システム 心拍数変動のパワースペクトラム解析装置や解析脳波記録装置などを作成し麻酔深度の定量化を試みたが未だ十分な結果が得られていない。今後誘発脳波等の新たな指標を加えて検討する予定である。 2.血中麻酔薬濃度超短時間定量システム 高速液体クロマトグラフを中心とした血中麻酔薬濃度超短時間定量システムを作成した。ミダゾラム,チオペンタール,ペンタゾシン,ベクロニウム等の静脈薬を採血から定量まで15〜20分の所要時間で簡便に測定することが可能となった。 3.血中および効果器麻酔薬濃度シミュレーションシステム 鎮痛薬,催眠薬,筋弛緩薬のそれぞれの効果器における濃度をシミュレーションより求めるシステムを開発しマイクロコンピュータに搭載した。演算方式はオイラー法と厳密解法を選択可能としたが,オイラー法が演算時間が短く精度も臨床的には十分であった。 注入ポンプ制御システム 1台のマイクロコンピュータによって同時に3台のシリンジポンプを駆動し,3種類の薬物についてそれぞれ任意の血中濃度または効果器濃度に達成させることができるシステムを作成した。 これらのサブシステムを統合することによって,筋弛緩薬に関してはクローズドループコントロールシステムによる自動投与法が可能となった。一方鎮痛薬,催眠薬に関しては設定した血中または効果器薬物濃度を目標としたオープンループコントロールシステムのみが実現できたが,今後薬剤の効果の定量化を行いクローズドループコントロールシステムによる自動投与法をめざす予定である。
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