研究課題/領域番号 |
04454388
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔学
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
石川 敏三 山口大学, 医学部, 助手 (90034991)
|
研究分担者 |
黒田 泰弘 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (80234615)
中木村 和彦 山口大学, 医学部, 助手 (50180261)
前川 剛志 山口大学, 医学部・附属病院, 教授 (60034972)
坂部 武史 山口大学, 医学部, 教授 (40035225)
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1993年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1992年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
|
キーワード | Analgesia / Tolerance / Spinal cord / G Protein / Adenylate cyclase / Protein kinase C / Ca channel / Nitric oxide / NMDA antagonist / N-type Ca channel / α2-receptor / Intracellular spinal transduction / 鎮痛 / 耐性発現 / オピオイド / モノアミン / α_2受容体 / 情報伝達系 / G蛋白質 / アデニル酸シクラーゼ |
研究概要 |
本研究は、痛みに対する特定の内因性制御機構を明らかにするため、疼痛反応とその制御機構、および鎮痛薬の効果・耐性発現における細胞内情報転換系反応を調べ、さまざまな痛みの治療法に関する基礎的知見を得ることを目的とした。まず、ラットに笑気(75%)を吸入させると著しい鎮痛効果(tail-flick潜時延長)が得られ、これには笑気が脊髄後角表層でα_2受容体の活性化→adenylate cyclase(AC)活性の制御→N型Caチャネル阻害という一連の反応を介し、substance P(SP)放出をシナプス前抑制することが関与すると考えられた。笑気吸入後2時間で吸入停止した後、再吸入すると鎮痛効果が消失し、急性耐性が発現した。この場合、初回吸入時にみられた笑気の脊髄後角表層でのシナプス伝達抑制作用が減弱、あるいは消失するほか、Cキナーゼのtranslocation/activationが起きることが分かった。また、この笑気鎮痛の耐性は、N型・L型Caチャネル拮抗薬、NMDA受容体拮抗薬により有意に抑制され、またNO合成酵素阻害薬が抑制傾向を示すことが分かった。一方、炎症性疼痛(20%mustard oil局所注入モデル)では、支配領域の脊髄後角表層でSPの放出増加に伴い、ブドウ糖代謝が亢進し、脱分極と合わせ、Cキナーゼのtranslocation/activationが起きることが分かった。またこの炎症性疼痛による疼痛関連行動、シナプス伝達系変化はオピオイド、Caチャネル拮抗薬、NMDA受容体拮抗薬、およびNO合成酵素阻害薬の前投与で抑制されることが分かった。 以上のことから、鎮痛薬はさまざまな侵害情報の脊髄における伝達に対し、選択的受容体(興奮性:NK-1、NMDA、および、抑制性:μ、α_2など)への作用、細胞内情報転換系への作用、すなわちG蛋白と連鎖する効果器(AC,PI response)あるいはCaチャネル活性の変調をもたらし、細胞内Caの変化とCa関連酵素CキナーゼおよびCaMキナーゼに依存するNO-cGMP系活性に影響し、鎮痛効果をもたらす。また、CキナーゼやNO-cGMP系活性は、シナプス可塑性をもたらすことから、鎮痛効果の耐性発現あるいは痛覚過敏などの機序に密接に関与するものと示唆される。
|