研究課題/領域番号 |
04454506
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
白土 雄司 九州大学, 歯学部, 講師 (60117132)
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研究分担者 |
後藤 多津子 九州大学, 歯学部, 医員
田代 英雄 九州大学, 歯学部, 教授 (20037500)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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キーワード | 顎運動 / 三次元 / 下顎前突症 / 外科的顎矯正術 / 顎関節 / 咬合 / 顎機能 |
研究概要 |
下顎前突症患者の三次元顎運動解析 下顎前突症患者は、顎関節に何らかの症状を有している者も少くなく、さらに矯正治療ならびに外科的顎矯正術を経て、咬合が安定するまでには長期間にわたり顎顔面形態、咬合状態、顎機能、顎関節症状に変化を生ずる。我々は、個々の患者の咬合および顎関節の動態を把握し、診断、治療、経過観察上重要なデータシステムの確立を目的として研究を行っている。 我々は九州大学式非接触三次元精密変位計測システムを用いて骨格性下顎前突症患者における顎運動機能を初診時から外科的顎矯正治療の術前、術後(3カ月後、6カ月後、1年後)にわたり経年的に計測してきた。計測した顎運動は限界運動(開口量、前方運動、側方運動)、咀嚼運動(ガムおよび各食品群)、後方運動、タッピング運動、その他である。今年度において初診患者22名、手術患者約20名の臨床診査および計測が終了し、その後の運動データ変換のための膨大な計算も終わりに近づいている。同時にその大量に蓄積されたデータおよび臨床診査データの磁気ディスクへの保存、整理もほぼ終了した。今後は完成した運動データを様々なパラメータを用いて解析し、運動変化を客観的に追っていくことになる。 その一環として、今年度は運動計測と並行して、まず顎関接をも含めた下顎の三次元基本限界運動距離(開口量、前方運動量、側方運動量)から解析を進めてきた。その結果、初診時、および術前は下顎前突症患者に特徴的な運動パターンを示した。しかし、術後3カ月頃に運動量は小さく、不安定な運動を示した後、術後6カ月めと1年めには正常者と同様なパターンを獲得していることがわかった。よって外科的顎矯正術により顎形態のみならず、顎機能の改善ももたらされることがわかった。今後は解析症例数を増やし、その結果を再確認した後、論文として報告する。その後はさらに他のパラメータを用いて下顎の三次元顎運動の変化を次々と報告する予定である。また顎運動と臨床所見(咬合、咀嚼筋、顎関接症状など)の関連性を検討し、報告する予定である。 最終的には以上の結果を総括して、下顎前突症患者における顎運動機能の動態に関する診断、治療、経過観察、教育に役立つ総合的な診断システムを確立する計画である。
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