研究概要 |
最終年度(平成6年)は,2年間における予備実験および本実験の結果を踏まえ,本法による生物学的特性は初期において重要と考えられ,下記の実験を行った。 1.材料 (1)φ1mm,長さ2.5mmのチタン合金(Ti) (2)φ1mm,長さ2.5mmのチタン合金に,プラズマ溶射法にて厚さ50μmにヒドロキシアパタイト(HA)を溶射したもの(PHA) (3)φ1mm,長さ2.5mmのチタン合金に,高速ジェットフレーム溶射法にて厚さ50μmにHAを溶射したもの(HHA) 2.実験方法 日本白色家免の〓骨(皮質骨)に,歯科用バ-にてφ1mm,長さ2.5mmの穴をあけ,各資料を埋入した。埋入期間は,1日,3日,1週,2週,4週,6週,12週とし,各資料と骨膜との関係(骨膜性仮骨との関係)を走査型電子顕微鏡(HITACHI S-800)を用いてそれぞれ観察した。 3.結果 HHAは,3日目より多くの線維組織(骨厚性間〓組織)と接触を示し,2週にて骨様物質の添加(石灰化)が資料表面に認められた。一方TiおよびPHAは,表面には特に変化は認められず,4週以降は周囲からの骨によって覆われ,差は認められなかった。 4.考察 HA溶射の利点は,初期固定に優れていると言われている。しかしながら,今回の実験より,TiとPHAに差は認められていない。又HHAの特徴は,表面が非常に多孔性を示すことにある。よって,骨との初期反応には,材料の差よりも,表面性状が細胞生物学的により重要であると考察された。
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