研究概要 |
細胞分化刺激因子として,また,Nuclear receptor familyの一員としてのVitamin Dが,同様のnuclear receptor familyをreceptorとする甲状腺ホルモンの作用に及ぼす影響を観察することにより,甲状腺ホルモン作用の選択的作用発現調節機構を分析した。 甲状腺ホルモンはその受容体を介し,NADPH-依存性甲状腺ホルモン結合蛋白を誘導する。この誘導はVitamin Dによっても観察される。すなわちnuclear receptor familyの中で,non-specificな遺伝子発現調節を示す。しかし,この蛋白は,細胞増殖能の著しい,ある種の癌細胞で著明に高く,悪性腫瘍細胞での分化能力,すなわち,脱癌化作用を有する機能蛋白と考えられた。以上の事実は,正常細胞での分化維持と同時に癌細胞など幼若細胞の機能分化に,甲状腺ホルモン受容体などnuclear receptor famailyが,多彩で,かつ,選択的機能を有することを示していると考えられた。
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