研究分担者 |
三輪 啓志 三重大学, 医学部・附属病院, 助手 (00209967)
大野 敏之 三重大学, 医学部, 助手 (50194246)
西川 政勝 三重大学, 医学部・附属病院, 講師 (30144257)
小林 透 三重大学, 医学部・附属病院, 講師 (00144246)
北 堅吉 三重大学, 医学部, 助教授 (90169847)
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研究概要 |
1.B前駆細胞性白血病(pre-B ALL)における造血因子受容体発現:pre-B ALL細胞では表現型,1g遺伝子型上の分化段階によつてIL-7受容体(IL-7R)及びM-CSF受容体(M-CSFR)の発現が異なり,最も未合化な段階(CD19+CD10-,1gH D/D,1gL G/G)ではIL-7R,M-CSFRがとも発現し,次のCD19+CD10+CD20-,1gHD(V)/V,1gL G/G段階ではともに発現せず,最終のCD19+CD10+CD10+,1gHV(D)/V,1gL R(G)ではIL-7Bのみ発現し,c-hit,遺伝子発現はいずれの段階でも陰性であった。このことはヒトB前駆記胞におけるサイトカイン依存性を反映していると考えられ,c-hit遺伝子発現やIL-7R遺伝子の一時的消失からマウスB前記細胞での受容体発現様式とは異なっていると考えられた。2.CD7陽性急性白血病の特性:CD7+CD3-ALLでは高頻度のc-hit遺伝子発現とG+CSFRの発現を認めた。またCD7+AMLの多数例の解析からこれらのAMLの細胞学的特性がCD7+CD3-ALLに類似することを指摘し,これらのCD7+急性白血病が形態学ALLとAMLの区別を超えて,同一疾患単位とみなせることも明らかにした。さらにCD7+急性白血病は治療拒抗性であるが,これらの白血病細胞は他の白血病細胞に比べて有意にP-糖蛋白(P-gp)を発現しており,薬剤拒抗性の一つの機序である可能性も明らかにした。3.CD5陽性B細胞リンパ腫の意義:CD5陽性B細胞腫瘍はB細胞性慢性白血病(B-CLL)に代表されるが,非ホジキンリンパ腫の小細胞型・中細胞型にもCD5陽性例が半数以上存在することを見出し,白血化,脾腫,節外浸潤,治療困難であることなど臨床病態的特徴から独立した疾患単位とみなしうることを指摘した。またCD5陽性B細胞リンパ腫はmantle cell lymphomaに相応し,1gM+1gD+型が多く,CD10陰性,shared idiotype高頻度,t(11;14)染色体異常高頻度,さらにPRADIC cyclin D1)遺伝子の過剰発現を認め,本型のリンパ腫の細胞増殖機構の異常を明らかにした。
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