研究課題/領域番号 |
04454575
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
斎藤 政樹 (斉藤 政樹) 自治医科大学, 医学部, 教授 (60012762)
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研究分担者 |
酒井 尚雄 自治医科大学, 医学部, 助手 (10235111)
古川 雄祐 自治医科大学, 医学部, 講師 (00199431)
中村 充 自治医科大学, 医学部, 講師 (20198237)
大田 雅嗣 自治医科大学, 医学部, 講師 (90160514)
北川 誠一 自治医科大学, 医学部, 助教授 (50133278)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1993年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1992年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
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キーワード | 細胞周期 / TGF-β / 網膜芽腫遺伝子産物Rb / cdc2遺伝子産物 / 糖蛋白テネイシン / 細胞外マトリックスECM / (非)リン酸化型Rb / E2F結合部位 / クロマチン構造変化 / 細胞外マトリックス / 非上皮系間質細胞 / 増殖因子 / (非)上皮系細胞 |
研究概要 |
(1)白血病細胞株JOSK-IのTGF-βによる増殖抑制は、細胞周期late G1期で増殖が停止するためであり、S又はG2/M期では増殖抑制を受けない。このlate G1期増殖停止は網膜芽腫遺伝子産物(Rb)の非リン酸化型が蓄積しDNA合成が抑制されるためである。Rbキナーゼは未同定であるが、cdc2遺伝子産物がRbリン酸化に深く関与していることが示唆される。TGF-βはcdc2 mRNA及び蛋白レベルには影響しないが、cdc2の翻訳速度及びキナーゼ活性を抑制する。従って、TGF-βによる細胞増殖抑制は、Rbリン酸化抑制と連関しており、これはTGF-βによるcdc2キナーゼ活性阻害を介していると示唆される。cdc2遺伝子発現は骨髄未分化細胞では認められるが、分化に伴って消失し、末梢血中の機能細胞(リンパ球、顆粒球、単球)では見られなかった。リンパ球を刺激するとcdc2 mRNAの再発現が誘導されるが、顆粒球、単球では発現は認められなかった。クロマチン構造変化は血液細胞のcdc2の発現においては認められなかった。さらに、cdc2遺伝子ヌクレオチド配列-117〜-124にE2F結合部位、-106〜-112と-159〜-165にRB Control Elementの存在が観察された。cdc2の発現誘導に比例してE2Fの結合が認められ、E2F mRNAの発現もcdc2 mRNAの発現と比例していた。(2)細胞外マトリックス(ECM)糖蛋白テネイシン(TN)は、一般に間質細胞-上皮細胞相互作用のもとに発現されるが、器官形成や癌化に伴っても発現される。In Vitro培養系で正常肝細胞(上皮系)由来の細胞株ではTN産生が全く見られない。しかしヌードマウスに移植すると、全ての移植上皮系細胞株近傍のマウス間質組織にTN産生が認められる。移植後、上皮系細胞自身はTNを産生しないので、これは上皮系細胞による間質におけるTN産生誘導を意味する。移植後、肝癌を含めた全ての上皮系細胞はTNを産生しないが、非上皮系細胞はTNを顕著に産生するようになる。このことはIn Vitro系とIn Vivo系との相互変換において、TN産生スイッチが変換することを示唆している。In VitroでTN非産生性の上皮系由来細胞株A431、HEp-2において、In Vivo移植後、腫瘍組織周囲マウス間質由来TNのみならず、腫瘍細胞自身にTN発現誘導が認められる。In Vitro実験系より、TN自己産生誘導には増殖因子(TGF-β1、TGF-β2、EGF)が媒介液性因子として作用し、これらが形態変化誘導能を有するという事実から、癌細胞増殖過程でのTN自己発現誘導における周囲間質由来増殖因子の関与が示唆された。
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