研究課題/領域番号 |
04454604
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
放射線生物学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小野 哲也 東北大学, 医学部, 教授 (00107509)
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研究分担者 |
池畑 広伸 東北大学, 医学部, 助手 (90250737)
細井 義夫 東北大学, 医学部, 助手 (50238747)
栗下 昭弘 東北大学, 医学部, 助手 (60201472)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1993年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1992年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
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キーワード | 腸死 / ギャップジャンクション / フォトブリーチング / X線 / 低線量 / 血管内皮細胞 / 放射線障害 / 骨髄死 / 免疫賦活剤 / 抗生物質 |
研究概要 |
生体の備えている放射線障害への抵抗力増強の指標として照射後の処理による生存率の上昇を用いた。放射線による急性障害を被曝後の処理により軽減化する方法は骨髄移植と感染の予防ぐらいしかなかったが、我々は免疫賦活剤であるOK-432の投与が骨髄死の軽減化に有効であることを見出したので、さらに別の物質で急性障害軽減化作用のあるものはないかどうかを検索することと、その作用のメカニズムをさぐる研究を行った。その結果、骨髄死に対しては(1)免疫賦活剤だけでなく抗生物質を併用するとさらに軽減化作用が強くなること、(2)骨髄死に大きな役割を担っているとされる顆粒球減少は顆粒球増殖因子(G-CSF)の投与により回復が促進されLD_<50/30>も上昇すること、が明らかになった。さらに腸死の原因とされる小腸幹細胞の生存に対しても抗潰瘍剤のひとつであるマレイン酸イルソグラジンの照射後の投与が有効であることを見出した。この薬剤の主な作用は細胞間コミュニケーションの増強とされているのでこれが放射線照射後の生存率上昇の原因になっているかどうかを明らかにすべく共焦点レーザ顕微鏡を用いた機能アッセイ法を確立し、放射線(2Gy)が細胞間コミュニケーションを抑制することを明らかにした。薬剤の作用については現在進行中である。これらの結果はいずれもマウスを用いたものであるが、照射後の処理によって障害を軽減化したものであり、生体の放射線による抵抗力あるいは回復力を増強した結果と考えられる。今回の研究結果はヒトにおける骨髄移植以外の新しい方法の開発に道を開くものであろう。これとは別に0.05Gyという非常に低い線量の放射線に対し、細胞の代謝が変わることも血管内皮細胞のプロスタサイクリン合成により明らかにした。これは生体の放射線への応答が細胞死だけでは不十分であることを示し、今後の大きな課題を堀り起こす結果となった。
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