研究課題/領域番号 |
04454607
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
分子生物学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
饗場 弘二 名古屋大学, 理学部, 教授 (20025662)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1993年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | グルコース抑制 / カタボライト抑制 / cAMP / CRP / 自己制御機構 / crp遺伝子 / ラクトースオペロン / 大腸菌 / グルコース効果 / 転写調節 / 正の自己制御機構 |
研究概要 |
大腸菌におけるカタボライト抑制の機構について、ラクトースオペロンの発現に及ぼすグルコースの効果を解析し、次の研究成果を得た。 1)グルコースによるラクトースオペロンの発現抑制(カタボライト抑制)は、細胞内cAMPレベルの低下で生じるという従来の説を再検討し、このモデルが不十分であることを明かにした。 2)ウェスタンブロット法およびゲルシフト法により、グルコースが細胞内CRPレベルを数倍低下させることを明かにした。 3)グルコースによるCRPレベルの低下がカタボライト抑制の原因の一つとして重要であることを明かにした。また、カタボライト抑制はCRPレベルとcAMPレベルの低下により引き起こされるとの新モデルを提唱した。 4)S1マッピング法により、グルコースによるCRPレベルの低下は、crpmRNAレベルの低下によること、また、グルコースはcrpmRNAの安定性には影響しないこと、従ってこの低下は、crp転写量の低下によることを証明した。 5)グルコースによるcrp発現の抑制には、crpプロモーターが必要であること、また、cAMPとCRPが要求されることを明かにした。 6)グルコースによるcrp発現の抑制には、crpプロモーター上流にあるCRP結合部位が必須であることを明かにし、グルコースによるcrp発現の抑制におけるcrpの自己制御機構の本質的役割を明かにした。 本研究により、グルコース効果の分子機構に関しての定説の問題点が明確になり、新たなモデルの提起とその検証を行なうことができた。本研究は、グルコース効果の分子機構をめぐる混乱状況の整理と新しい認識の誕生を導いたが、バクテリアにおける環境応答と遺伝子発現調節のパラダイムとして取り扱われてきたこの現象を分子的に理解するためにはcAMPレベルの調節機構をはじめ解決すべき重要課題が多く横たわっており、今後の研究が待たれる。
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