研究課題/領域番号 |
04455001
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊福部 達 北海道大学, 電子科学研究所・感覚情報研究分野, 教授 (70002102)
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研究分担者 |
井野 秀一 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (70250511)
泉 隆 北海道東海大学, 講師 (80193374)
高橋 誠 北海道大学, 電子科学研究所・感覚情報研究分野, 助教授 (10154858)
松島 純一 北海道大学, 医学部, 講師 (60173829)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
1993年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1992年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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キーワード | 人工内耳 / 聴覚情報処理 / 耳鳴 / 耳鳴治療 / 音声知覚 |
研究概要 |
本課題では、蝸牛の機能的電気刺激によりどの程度の時系列信号を識別できるのか、さらに電気刺激が難聴者にどのような生理的・心理的効果をもたらすのかを調べることを目的とする。その結果、蝸牛への時系列電気刺激に対する時間分解能が音刺激によるものよりも優れていることを見いだし、スペクトルを時系列信号に変換して音声情報を伝達する人工内耳の有効性が示された。また、閾値下の電気刺激を与えることによって耳鳴が抑制されたことから、耳鳴抑制に最適な時系列刺激を求めるとともに、埋込み式耳鳴抑制装置を3名の患者に適用することに成功した。以下に、本課題で得られたことを要約する。 (1)蝸牛へのダブルパルス時系列刺激の検査から時間分解能は約150μsであり、時系列刺激でも訓練なしで60%程度の母音識別ができることが分かった。 (2)300名を越える蝸牛電気刺激の治療結果から、約30%で耳鳴が消失し、63%で軽減するという結果が得られ、10kHzサイン波をキャリアとした場合、10Hz変調で最も耳鳴が改善されることが分かった。 (3)電気治療中のSQUID(脳磁気計測)、脳波および指先の血流などの測定から、閾値下の電気刺激により自律神経の副交感神経系が優位になり、脳幹網様体や大脳辺縁系の作用が活性化することが推論された。 以上、人工内耳を利用した聴神経の時系列信号処理に関する研究成果を述べたが、当初の計画では無かった耳鳴抑制の研究が後半で大きな割合を占めた。しかし、埋込み患者の長期にわたる使用結果からも聴神経の時系列信号処理機構の一端が明らかにされるであろう。また、埋込み技術が確立され、生体適合性が実証されたので、今後も本研究を続けて音声信号をどのような時系列刺激にすると識別しやすくなるかを追求していきたい。
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