研究課題/領域番号 |
04455005
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鎌田 博 筑波大学, 生物科学系, 教授 (00169608)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1993年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1992年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | ベラドンナ / Riプラスミド / rolC遺伝子 / 花芽分化 / トランスジェニック植物 / 実験室外実験 / ジベレリン / サイトカイニン / 矮化 |
研究概要 |
毛根病の病原因子であるRiプラスミドT-DNA上に存在するrol遺伝子、特に、植物体の矮化や花芽の早期分化を促すrolC遺伝子の生理機能を解明するため、強力なプロモーターであるCaMV35SプロモーターにrolC構造遺伝子を連結したキメラ遺伝子を構築し、ベラドンナに導入した。その結果、形質転換ベラドンナは矮化し、早期に花芽を分化した。このような形質転換ベラドンナの自家受粉後代植物について二世代に渡り、P1隔離温室で自然条件下で栽培を行い、その形態的・生理的特性について調査した。後代植物では、非形質転換体とほぼ同じ形質を示すもの(タイプ1)、形質転換当代と同様に矮化して発芽後早い時期から花芽分化するもの(タイプ2)、タイプ2よりもさらに植物体が小型化して成長が抑制され、花芽分化も見られないもの(タイプ3)に分離した。タイプ1、2、3の分離比は、ほぼ1:2:1となり、導入したrolCキメラ遺伝子が単一の優性遺伝子として機能し、また、ホモ個体となってrolC遺伝子が過剰に働くと成長が抑制されることも明らかとなった。この結果は、rolC遺伝子を品種改良に利用する際には発現量の制御について考慮する必要があることを示している。 一方、rolCキメラ遺伝子を導入した形質転換ベラドンナについて、タイプ1及びタイプ2の個体を用い、生体内植物ホルモンの定性・定量分析を行った。その結果、茎葉部では、アブシジン酸、サイトカイニン、ジベレリンの含量が形質転換個体ではわずかに増加していたが、根部では差が見られなかった。また、タイプ1及び2について各種植物成長調節剤で処理したが、形質転換個体に特徴的な性質である花芽の早期分化については促進も抑制も見られなかった。この結果は、rolC遺伝子の機能として従来報告されてきた結果(サイトカイニングルコシダーゼ)とは一致せず、rolC遺伝子の真の生理機能については今後新たに考える必要があろう。
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