配分額 *注記 |
5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1993年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1992年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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研究概要 |
本研究は,平成4年から6年の3年間を通して,無菌開放培養の構築のための基本的特性の解析と,その利用に関する基礎的検討を行った。主要な成果は以下の通りである。 1.開放培養に使用する無菌環境の評価とその利用技術に関する基礎的検討 (1)無菌開放培養環境に関し,無菌環境装置として使用したクリーンベンチ内の微生物汚染,養水分の蒸発,空気の流動などを調査し,長期の開放培養の実施が可能であることを明らかにし,微小動物による微生物汚染と水分蒸発とが最大の問題点であることを明らかにし,微小動物の浸入防止策をとることと,ポンプ式あるいは簡易型の無菌水自動補給装置を作成すことによって問題の解決をはかった。 (2)開放培養における植物組織の分化発育ならびに分化発育の制御について検討を進めた結果,無菌開放培養で育成した植物は,矮化あるいはもやし化することなくよく展葉して成育し,組織培養で問題となるビトリフィケーションの発生は皆無であり,増殖した植物体の順化育成は全く不要であり,優れた特性の種苗を生産できた。また,開放培養に供する組織培養株の大量培養技術についても検討を進めた。 (3)抗菌性物質生産株の培養による開放培養の安定化の可能性について検討を進めたが,顕著な効果は得られなかった。 2.無菌開放培養システムの構築ならびに無菌開放培養条件下における植物組織器官の分化発育の制御による大量培養に関する総合的検討 モデルシステムの検討を通して,種苗生産用開放培養システムと代謝物質生産用開放培養システムを構築した。これらの検討を通して、前者は順化工程の不要な種苗生産やジャガイモのマイクロチューバーの生産を、後者はアルカロイドの生産を行った。 3.まとめ 以上の検討を通して,植物の成育については良好な結果が得られ,特に順化を必要としな新たな種苗生産の自動化手段となりうる結果が得られた。しかし,最大の問題点の1つである水分蒸発は無菌水補給装置により帰けつすることができたが,微生物汚染の原因についてダニ類等の被害が生じ,これは今後の検討課題となった。
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