研究課題/領域番号 |
04457082
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永澤 恒 九州大学, 歯学部, 教授 (10013848)
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研究分担者 |
谷口 俊一郎 九州大学, 生医研, 助教授 (60117166)
中島 美砂子 九州大学, 歯学部, 助手 (20207773)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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キーワード | Bone morphogenetic protein / Transforming growth factor / 歯髄細胞 / 象牙芽細胞 / 修復象牙質 / 細胞培養 / mRNA / 生活歯髄切断法 |
研究概要 |
まず、ウシ永久歯歯髄培養細胞の前象牙芽細胞への分化過程における遺伝子の発現の変化を調べた。細胞増殖がピークをすぎた14日目ではフィブロネクチン、I型およびIII型コラーゲンmRNAの発現が上昇し、アルカリフォスターゼの発現はしだいに増加し、前象牙芽細胞のマーカーであるオステオカルシンは石灰化の生じる直前に発現した。 Transforming growth factor(TGF)-beta_1のmRNAは、アルカリフォスファターゼの発現の上昇とともに消失し、 Bone morphogenetic protein(BMP)-4は細胞外基質蛋白の発現上昇に伴い発現し、BMP-2はオステオカルシンmRNA発現とともに発現した。ヒトリコンビナントTGF-beta_1はアルカリフォスファターゼ活性を抑制し、BMP-2およびBMP-4は促進した。BMP-4はalpha1(I)コラーゲンmRNAを上昇させ、BMP-2はオステオカルシン合成を促進した。したがって細胞外基質蛋白の遺伝子発現と歯髄細胞の前象牙芽細胞への分化調節へのTGF-beta_1、BMP-2およびBMP-4の関与が示唆された。次にこの3種の蛋白質の歯髄創傷治癒および修復象牙質形成に及ぼす影響を調べるため、イヌ生活歯髄切断面上に応用した。I型コラーゲンを担体とした場合、BMP-2およびBMP-4では2か月後には断髄面上〓洞内に骨様象牙質形成がみられたが、TGF-beta_1は担体のみが残存した。不活性化象牙質基質を担体とした場合、BMP-2およびBMP-4では断髄面上の〓洞内は下部では細管象牙質に、上部では骨様象牙質により満たされていた。よって象牙芽細胞の分化には象牙質内のある種の基質成分が必要であることが示唆された。より早期に確実に大量の修復象牙質を誘導する生物学的覆髄剤としてBMPを臨床応用するための最適な担体を開発すべく、現在ラミニン、フィブロネクチンあるいはIV型コラーゲンなどの細胞外基質蛋白質を検討中である。
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