研究分担者 |
水田 正志 日本電気(株), 基礎研究所, 研究部長
坂 貴 大同特殊鋼(株), 研究開発本部, 主任研究員
堀中 博道 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (60137239)
吉岡 正和 高エネルギー物理学研究所, 加速器研究系, 助教授 (50107463)
神谷 芳弘 豊田工業大学, 工学部, 教授 (20022543)
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配分額 *注記 |
20,000千円 (直接経費: 20,000千円)
1994年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1993年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
1992年度: 11,700千円 (直接経費: 11,700千円)
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研究概要 |
成果(1):100%に近い偏極度を有するフォトカソードの開発 我々独自のアイデアである「格子不整合により歪ませたGaAs(Strained GaAs)」によりブレークスルーである90%近い偏極度を達成し,更に格子不整合と歪みの相関関係,最大偏極度と歪みの相関関係を初めて明らかにし,0.1%の量子効率を持つカソードの試作に成功した。また「AlGaAs-GaAs」超格子カソードを越える新たな試みとして歪み効果導入した「InGaAs-GaAs超格子」の開発を開始し85%を越える偏極度達成に成功した。 成果(2):高い量子効率を有するフォトカソードの開発 上記の高偏極度カソードでは量子効率が薬0.1%しか得られぬ限界を突破するため,二つの新しい工夫を試みた。(1)Bragg反射鏡挿入によりレーザー光の吸収効率をエンハンスする「共鳴吸収型Strained GaAsカソード」の発明,(2)「変調ドープ型超格子カソード」の発明である。これらにより量子効率を従来の10倍に引き上げることに成功した。 成果(3):高いピーク電流を実現するための開発研究 我々の開発した「GaAs-AlGaAs超格子」をSLC(Stanford Linear Collider)の電子銃に装着して実験を行ない,従来の“全電荷制限効果"による限界値を突破して,“空間電荷制限"で決まる最大のピーク電流(2.3×10^<11>個/2.5ナノ秒)を引き出すことに成功した。これは将来のリニアーコライダーでの偏極電子ビーム実用化に向けての朗報である。 成果(4):長い寿命を実現できる偏極電子銃システムの開発 装置の作製から開始したので現在なお進行中であるが,100KeV偏極電子銃からの偏極電子ビームの取り出しに成功し,強い電流取り出し条件下での長寿命実現のため放電暗電流を削減する改造を進めている。並行して高性能200KeV電子銃の設計を実施している。 成果(5):超低エミッタンスを実現する偏極高周波電子銃に関する基礎研究 将来の理想電子銃として「偏極高周波電子銃」を想定し,その成否は放電暗電流を減らすこと,新しいフォトカソードの開発にあると認識し,基礎研究を開始した。超高真空・高電界の条件下で放電暗電流を減らすために,超高真空槽と電極の材質,表面処理および洗浄方法などに現在求め得る最先端技術を採用した試験装置をすでに作製した。
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