研究課題/領域番号 |
04554021
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
天然物有機化学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
白濱 晴久 北海道大学, 理学部, 教授 (00000802)
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研究分担者 |
大船 泰史 (財)サントリー生物有機科学研究所, 主任研究員 (20142078)
篠崎 温彦 (財)東京都臨床医学総合研究所, 薬理研究室長 (20109945)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
1993年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1992年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | アクロメリン酸 / グルタメート受容体 / カイノイドC_4側鎖の立体配座 / 4-フェニル-3-デヒドロプロリン / カルボキシシクロプロピルグリシン / カルボキシシクロペンチルグリシン / 立体配座解析 / アクロメリン酸B / 光照射下のジールズアルダー反応 / ピロリジン環の効率的形成 |
研究概要 |
神経細胞間で信号を搬送する物質を受容する器官の一つにグルタメートリセプターがあり、これは記憶や学習など重要な高次機能に関係していると考えられている。本課題に於いては、この受容体の機能について有機合成の側から解明研究を行った。 1)アクロメリン酸B(Acro B)の効率的合成。先に発表した光射照による芳香族アルデヒドのエノル化によって生じたジェンに対するDiels-Alder反応を利用してAcro Bを効率よく合成する方法を検討し、通算21%の収率で得られる方法を開発した。即ち2-シアノピリジルエタノールトリフレートとビニルオキサゾリドンを縮合し、数段階を経て合成したピリジンアルデヒド1を光射照下に環化させ、立体選択的にピロリジン環を形成した。β-ケト酸部分をアルカリで切断したのち数段階を経て、Acro Bとした。 2)L-2-(カルボキシシクロプロビル)グリシン(CCG)類の配座解析。今回、CCG類をグルタミン酸受容体の立体配座要請の解明のためのプローブとして考え、数種のCCG類の3'-位置換体を合成し、それらの活性の検討とともに分光学的手法により立体配座解析をおこなった。その結果、受容体の活性化におけるグルタミン酸の立体配座に関して重要な見知を得た。また、新しいアゴニストの開発もできた。 3)本受容体に作用するカイノイドはC_4側鎖にπ電子を持つことが強い活性を示す一つの条件であることを見出しているが、このπ電子をもつ系はピロリジン環と直交したコンホメーションで働いていると考えられる。そこで逆に側鎖のπ電子系がピロリジン環と同一平面上にあるような化合物(1〜4)を合成して活性を調べた。合成はトリメチレンメタンが分子内のαβ-不飽和エステルに付加することにより、3-アザビシクロ[3.3.0]オクタン骨格を作る方法で行った。二重結合の位置は金属触媒によって調整した。脱分極活性は全てについて著しく減り、やはり側鎖のπ電子平面がピロリジン環と直交するコンホメーションが強いと活性を示すために必要であることを示唆した。 4)C_4に芳香環をもつカイノイドの新しい短段階合成法を開発した。4-ヒドロキシプロリンから4-フェニル-3-デヒドロプロリンを合成し、これにマロン酸モノメチルエステルのマンガン(III)酸化で生ずるラジカルを付加させ、酢酸基がC_4に生じたOH基とラクトンとなっている形のフェニルカイノイド中間体を立体選択的に合成し、これを水素添加してフェニルカイノイドとした。また、この方法によって、C_4にピリジンをもつカイノイドの合成にも成功した。 5)3-デヒドログルタミン酸にトリメチレンメタルを付加させてグルタミン酸にexo-メチレンシクロペンタンを作りつけた化合物CPG-を合成し活性を調べた。4個の立体異性体中CPG-IVのみがカイニン酸同様の活性を示した。
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