研究分担者 |
西村 清和 工業技術院地質調査所, 海洋調査部, 主任研究官
安間 恵 川崎地質株式会社, 海洋調査部, 部長
土屋 洋一 千本電機株式会社, 技術部, 部長
高安 克己 島根大学, 汽水域研究センター, 教授 (00127490)
三瓶 良和 島根大学, 理学部, 助手 (00226086)
大西 郁夫 島根大学, 理学部, 教授 (40032445)
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研究概要 |
平成4,5年度にわたり塩水楔探査装置の開発を行ってきた。4年度には中海において調査測線を設定し,11月23日,2月27日に探査を行い,アナログ装置の収録方法の改良を行った。5年度にはそれを基礎として記録のデジタル収録方式を開発し,同時にそれをカラー表示するシステムをも開発した。これらの一連の機器を用いて中海では8月19日,宍道湖では10月19日に調査を行い,塩分躍層をカラー表示することに成功した。音波探査記録と塩分の鉛直分布を測定した結果を比較すると,塩分が急激に変化する深さでは反射面が記録されていることがわかる。それが明瞭な場合ほど,塩分の鉛直変化も,よりシャープであるといってもよい。開発したデジタル収録装置によるデータと,従来のアナログ記録装置によるデータを比較すると,両者の違いは明瞭である。また,記録装置をデジタル化することによって,記録の多面的な処理が可能となるとともに,振幅の小さい反射波も抽出できるようになったことから,より鮮明に塩分躍層の実態を捉えることができるようになった。この開発したシステムを用いて長良川下流の塩水楔の調査を1月に行ったところ,河口堰から18kmまで塩水が溯上している実態が確かめられた。河口域における塩水溯上は社会的にも大きな問題になっているところであり,今後この装置を用いて観測を行うことによって,汽水湖や河口域における水質観測に新たな方法が開発されることになる。
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