研究分担者 |
述村 欽司 (株)新エィシーイー, 研究部長
福田 昌准 津山高専, 機械工学科, 助教授 (80141919)
山根 浩二 京都大学, 工学部, 講師 (10210501)
塩路 昌宏 京都大学, 工学部, 助教授 (80135524)
辻村 欽司 (株)新エィシーイー, 研究部長
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研究概要 |
本研究は,二酸化炭素や水の選択排気再循環による窒素酸化物低減と電子制御高圧噴射による微粒子低減との組み合わせにより高効率低排気濃度のディーゼル機関を確立することを目的として行った。高圧燃料噴射は微粒子の低減に極めて効果が大きいが,この実施には実用的な噴射系の開発が要となっている。そこで本研究では最初に全電子制御可能なスプールの油圧加速を利用した高圧噴射系を開発した。その噴射特性を詳細に調べ機関運転試験を行った。その際,噴射ノズル噴孔径を定めるための理論を使って適正化を行った。試験の結果,噴射圧力を負荷の低下とともに下げることが可能なため,高負荷では排気煙を減らし中負荷では窒素酸化物を低濃度に保てることや,低速でも良好な燃焼が実現できることなどを明らかにした。一方,ディーゼル火炎の高速度撮影とレーザシート法による火炎内ス-ト雲の可視化によれば,従来の低い噴射圧力の場合に見られた燃焼後期のス-ト雲は高圧でほとんどみられないことなど,噴射の高圧化と小噴孔径の使用が燃料-空気の微視混合を強化すると推察できた。 二酸化炭素や水を選択的に吸気へ再循環すると3原子気体のため熱容量が増し燃焼温度が下がり窒素酸化物が抑えられる。そこで,排気水の凝縮を想定して,吸気ポート内へ水を噴射しその量が機関性能および排気に及ぼす影響を実験により調べ,排気水再循環の実施の際の窒素酸化物および排気煙濃度の予測を行った。その結果,排気凝縮水量が多い高負荷では熱効率をあまり損なわず窒素酸化物を通常の半分以下に低減できることを示した。そのほか,排出二酸化炭素のモノエタノールアミン水溶液による化学吸収法を用いた再循環システムを考案し,熱交換器などを設計・試作した。
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