研究課題/領域番号 |
04555066
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子材料工学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小長井 誠 東京工業大学, 工学部, 教授 (40111653)
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研究分担者 |
松本 和彦 電子技術総合研究所, 電子デバイス部, 主席研究官
野崎 真次 東京工業大学, 工学部, 客員助教授 (20237837)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 18,200千円)
1994年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1993年度: 7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
1992年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | カーボン / InGaP / GaAsHBT / InP / InGaAsHBT / MOMBE / カーボンドープベースHBT / 超高濃度ド-ピング / タ-シャリブチルフォスフィン / 超高濃度ドーピング / GaAs / InGaAs / ターシャリブチルフォスフィン / HBT / トリメチルガリウム / ネオペンタン |
研究概要 |
本研究ではヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)の更なる高性能化の為に、ベース層に正孔濃度が10^<21>cm^<-3>という超高濃度カーボンドープp形GaAs薄膜を用いたカーボンドープベース超高速HBTの実現を目的としている。まず初めに、p形ベース層の正孔濃度が1×10^<21>cm^<-3>以上という超高濃度ドープベースInGaP/GaAsHBTの特徴・利点を静特性、動特性及びデジタル回路応用に関する理論的検討で明らかにした。静特性ではベース幅の最適化により10以上の電流利得を得る事が可能である事を明らかにし、動特性ではハイブリッドπ型等価回路を用い、最大発振周波数f_<max>=160GHz、電流遮断周波数f_T=130GHzが予測された。また、回路シミュレータを用いてスイッチング特性を検討した結果、1ゲート当たりの伝搬遅延時間は約1psと見積もられ、ベース層の低抵抗化(高濃度ド-ピング)がHBTの高速化にとって非常に重要な技術である事を指摘した。この様な理論的背景のもと、初年度(平成5年度)ではHBTの高速化に不可欠なカーボンドープベース材料(GaAs、InGaAs)と燐(P)系エミッタ材料(InGaP)の有機金属分子線エピタキシ-(MOMBE)結晶成長技術を開発し、初期的なデバイスの作製を行った。今年度(平成6年度)は更なる成長技術の洗練を行い、1)より高速性に富む材料を用いたデバイス構造の提案と実現、を図り、2)P形ベース層の正孔濃度が1.5×10^<21>cm^<-3>というInGaP/GaAs HBT構造の検討による高電流利得化、に関して研究を行った。具体的な成果として、1)ではInP/InGaAs材料系HBTに着目し、P原料としてタ-シャリブチルフォスフィン(TBP)を用いたMOMBE法によりカーボンドープn形InPのMOMBE成長技術を開発し、エミッタ、ベース双方のドーパントにカーボンを用いたInP/InGaAsHBTを世界ではじめて提案・作製し、小信号電流利得h_<fe>=20、直流利得h_<FE>=11を得た。更に2)では、ベース幅15nmのデバイスを試作し、h_<fe>=16、h_<FE>=12を得る事に世界ではじめて成功し、また、1000分間の通電劣化試験においても電流利得の低下現象は観測されなかった。これは、10^<21>cm^<-3>ベースInGaP/GaAsHBTに於けるベースドーパントとしてのカーボンの安定性を実証し、アナログ・デジタル回路応用への可能性を示す重要な結果であると考えられる。
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