研究概要 |
平成4,5年度の2年間で研究を実施し,以下の成果が得られた。平成4年度に実施した高齢者へのアンケート調査から(1)高齢者が自らの意志で運転を断念する年齢は,85%が現実に運転している年齢に5歳を加えた年齢まで運転する。(2)ペーパードライバー率が年齢の低い高齢者程低いことが分かり,公共交通機関の早期整備が期待出来ない地方都市では高齢化の進展と共に益々車の運転による移動が増える。 また,自動車運転シミュレータによる高齢者と若齢者の運転技術では(3)曲線半径が100m以下の場合に運転技術に差が現れる。(4)曲線半径が500m以下ではハンドルの微調整は行われず,800m以上の半径で微調整が行われることがスペクトル解析の結果分かった。(5)カーブの曲がりにくさの一対比較では,曲線半径50m以下でのウエイトが200mに比べて運転者平均で5倍あり,200m以上でのウエイトの変化がないことから,一般道では200m以上の半径を確保すれば良いことが示された。 平成5年度にはシミュレータの画像処理アルゴリズムを高速道路についても適用出来るように改良して,高齢者と生産年齢者について調査を行った結果からは,(6)曲線半径が100m以下での走行速度の加減速度変動(アクセレレーションノイズ)は被験者間で大きな較差を示し,一対比較の結果とも一致した。 2年間の研究から,自動車運転シミュレータを(7)高齢者の運転技術を評価することが可能,(8)曲線半径を中心に幾何構造上の問題点を明らかにすることが出来るシステムに改良できた。今後の課題は,交通量の影響を評価できるシステムに改良する必要があることが分かった。
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