研究概要 |
高品質・高生産性を指向する金属材料プロセシングの中で凝固時の割れはそれを阻害化させる最も大きなものの一つである。そこで、炭素鋼、銅-錫系合金の凝固過程ならびに凝固後の変形挙動を検討した。 0.8wt%Cまでのカーボン量の多い試料およびサルファ量の多い試料について高温引張試験を行い、引張強度および破断にいたるまでの変位を測定した。また、0.6wt%カーボンの試料を用いて歪速度の影響についても調べた。 高カーボン,高サルファ試料の試験結果では強度は凝固完了前に固相率0.7前後で現れており、この点は過去のデータと同様であった。これに対して変位の測定結果では、凝固完了予想温度以下においても伸びが認められず、ZDTを決定できなかった。溶質分配シミュレーションによる凝固完了予想温度とZDTが一致しないのは今回の試料では過去に用いた試料よりカーボン,リン,サルファ等の溶質元素量が多いためであると思われるが、ZDTへの影響機構は不明である。 次に歪速度の影響についてであるが、まず引張強度は歪速度が大きくなるにつれて上昇する傾向が認められた。また、歪速度10^0,10^<-1>,10^<-2>/sでは伸びはほぼゼロであったのに対して10^<-3>/sでは約5mmの伸びが測定された。従って凝固温度域においても機械的性質は歪速度に依存すると結論される。 銅-錫系合金については固相線以下の温度で10^0〜10^<-4>/sの変形挙動を検討した。引っ張り強さ,変形抵抗,伸びに対する試験温度・歪み速度/歪みの影響を定量的に表現した。
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