研究概要 |
先端医療や科学技術を支えるものとして含フッ素機能性材料に対する社会的ニーズ今日飛躍的に増大している。しかしながら,これらを創製する上で必要不可欠となる選択的フッ素化の技術は未発達であった。本研究はこれらの点に鑑み,当研究者らによって見出されたヘテロ原子化合物の選択的電解フッ素化を実用プロセス化するための基盤作りを仕上りとしたものであり以下の成果を得,実用化へ向けての有力な指針を得ることができた。 1.当研究者らにより見出された電解フッ素化の適用範囲を〓げるとともに反応の最適化を図った。本反応が有機セレン化合物や含窒素及び含硫黄ヘテロ環化合物にも適用可能であり選択的フッ素化が効率良く進行することを明らかにした。 2.回分式電解から流通式電解への転換を図るべくまず市販の小型フィルタープレス電解槽を改造し、ついで気一液分離器などの周辺装置を試作し,欠陥を改良した。 3.α-フェニルスルフェニル酢酸エステルをモデル基質として,上記フローセルを用いてフッ素化の実用試験を行った結果,流通式電解によっても選択的フッ素化が円滑に進行し硫黄のα-位がモノフッ素化された生成物が良収率で得られることが分った。収率と電流効率は電解〓の流速にはあまり影響を受けなかったが,基質の濃度が高い場合には電流密度により変わり,特に高電流密度下ではジフルオロ化体などの副生成物が多くなり効率が低下することが分った。本電解は無隔膜の〓〓良い結果を与えること,白金のみならずグラファイトシートなど安価な陽極材料も使用可能なことも明らかとなり,実用化プロセスへ向けて明るい見通しと指針が得られた。現在,更なる対象基質の拡張と副次的諸問題解決に努力を傾注している。
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