| 研究概要 |
π-電子系とSi-Si結合を主鎖に交互に有するポリマー,ポリ[(ジシラニレン)フェニレン],ポリ[(ジシラニレン)ナフチレン],ポリ[(ジシラニレン)チエニレン〕,ポリ[(ジシラニレン)ジチエニレン],ポリ[(ジシラニレン)ブトエンイン-1,4-ジイル],ポリ[(ジシラニレン)エチニレン]を合成し,それらの光反応性を検討した。
これらのポリマーは通常の有機溶媒に可溶で,スピンコーティングにより薄膜に加工できる。ポリマー薄膜を空気中で紫外光照射するとSi-Si結合の解裂とSi-O結合の形成がおこった。さらにこれらのポリマーの光反応機構の解明を目的として光反応を溶液中,アルコールなどの捕促剤の存在下および不在下で行いその分子量変化とスペクトル変化を検討した。その結果,溶液中での光反応ではまずSi-Si結合の解裂によってシリルラジカルが生成すること,生成したシリルラジカルは不均化してシレンとヒドロシランに変換されるか他のポリマー分子のπ-電子系を攻撃して袈橋をおこすことが明らかとなった。ポリマーケイ素上にアルキル基が置換している場合には架橋反応が,アリール基が置換している場合には不均化が優先して進行することも見い出された。又,ポリマーの光反応性は主鎖に含まれているπ-電子系が拡張されるに従って低下することもわかった。これらは今後のポリマー設計の上で重要な知見になると考えられる。
さらにより多くの知見を得る目的で,本ポリマーのモデル化合物であるジシラニレンフェニレンオリゴマーを合成しその光反応を行った。
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