研究概要 |
空気-水界面に展開した高分子ブレンド膜の凝集構造のその場観察をするために、楕円偏光解析、ブレンドした一成分につけた蛍光物質の発光を利用した蛍光顕微鏡観察、および表面圧測定のできる装置の試作をした。 1.蛍光顕微鏡観察には、蛍光物質であるフルオレセインをラベルしたジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(L-DPPE)を蛍光の標識物として用いた。この標識物を人工細胞の構築にも広く使用されているジラウロイルホスファチジルコリン(DLPC)に、重量比で0.04の割合で混ぜたものを単分子膜として拡げ、蛍光顕微鏡観察したところ、相転移領域においてアルキル鎖の会合に伴う海島構造(希薄相が黒い円となる)が観察された。また、このDLPCに脂肪酸であるペンタデカン酸をモル比で、1/4,1/2,1/1,及び1/4の割合で混合したものを蛍光顕微鏡観察した。ただし、混合膜中のDLPCの量はほぼ一定になるように展開した。ペンタデカン酸の混合比の増加と共に、ほぼ円形であったDLPCの凝縮相が崩れ、明るい小滴ができさらにそれが成長していくことが分かった。 2.表面圧測定から、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)-ポリグルタミンサンメチル(PMLG)ブレンド膜は相溶性であり、DPPC-ポリ4ビニルn-ヘキシルブロマイド(PVPy)ブレンド膜は非相溶であることが分かった。一方、楕円偏光解析からも表面圧測定の結果、すなわちブレンド膜の相溶性を支持する結果が得られた。また、各々のブレンド膜の厚さは2-3nmであることが分かった。
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