研究課題/領域番号 |
04555223
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
高分子合成
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
土田 英俊 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90063461)
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研究分担者 |
山元 公寿 (山本 公寿) 生産開発科学研究所, 研究員 (80220458)
西出 宏之 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90120930)
寺境 光俊 学振特別研究員, 研究員
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
18,900千円 (直接経費: 18,900千円)
1994年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1993年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1992年度: 15,400千円 (直接経費: 15,400千円)
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キーワード | 酸化重合 / 芳香族ポリチオエーテル / スルホニウムカチオン / ジスルフィド / PPS / エンジニアリングプラスチック / バナジル錯体 / 空気酸化 |
研究概要 |
重合不活性化合物のジフェニルジスルフィド(DPS)を、カチオン活性種を経由させて重合可能とする方法を発見した。DPSは酸性雰囲気で酸化されるとフェニルビス(フェニルチオ)スルホニウムカチオンを生成し、これの求電子置換反応の繰り返しは直鎖ポリフェニレンチオエーテルを効率良く生成する。この反応はバナジル化合物の接触が有効な電子移動媒体として働き、効率高く促進されて酸素酸化によって進行することになる。重合系の電子過程を詳細に解明、また中間規模での反応試験により再現性の確認、反応効率向上と高分子量生成物の条件を明確にした。さらに、塩化硫黄とキシレンやジフェニルスルフィドなどの芳香族化合物から直接PPSを生成させる合成法を確立し、これを広く芳香族ポリチオエーテル合成に展開した。他の樹脂とのブレンド、また共重合を含め、新しい含硫黄芳香族エンジニアリングプラスチックとしての物性を評価をした。 本研究の展開は、当初の考えを超える多くの新知見を得ることに成った。1)塩化硫黄と芳香族の直接反応において、酸化過程抑制により有用なジスルフィド化合物の選択合成が可能。この反応は簡便で経済性の高いジスルフィド合成法をも提供するものである。2)新規物質としてポリスルホニウムが誕生し、これが謂わば可溶性前駆体を経由する従来にない超高分子量(Mw:2.5×10^5)の高性能PPSを合成できる方法となることが確認できた。 3)一段階多電子移動が分子変換に有効に役立つことは、バナジウム多核錯体の多電子移動を中心に詳しい知見が集積された。 カチオン酸化重合の利用により、優れたエンプラ特性を持つ直鎖高分子のPPSや置換PPSの極めて簡便な合成法が、可能となったことは誠に面白い。本法により、興味ある物性の各種PPSが出現すれば、新材料として間違いなく用途拡大につながるはずで、その波及効果は大きいと思う。今後、この新しいカチオン酸化重合が、芳香族高分子全般の新しい合成法として定着することが期待される。
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