研究概要 |
平成元年度から2か年計画で実施してきた科研費一般研究(C)「集落地域整備計画のための地域合意形成支援システムの研究」で開発した地権者討議の合意形成支援システムのアルゴリズムを,一般研究(C)で使用したパーソナルコンピュータの約100倍の演算速度を持つワークステーション上に下記の手順で再構築した.これにより,地権者の討議の場で議論の進行に応じて,地権者の希望とプランナーの計画判断を統合した計画図を,リアムタイムな形で議論に参加する者全てに提示することが可能となった. (1)既に概念構築が試されている「4地目型土地分級システム」のうち,数量化理論第I類を用いた適性土地利用判別論理をワークステーション上でインプリメントした. (2)平成4年度に整備された,平石西部地区(栃木県)の2,046筆の全筆地についての評価データを,上記のインプリメントしたソフトウェアに適用した.その結果を,土地利用の最適化の観点からの土地利用図の形で地権者に示し,討議を通じて,地権者の土地利用意向・希望の自主修正を促すと共に,データベースの構造とアルゴリズムに修正を加えた. (3)構造を修正したデータベースからのデータを,アルゴリズムを修正したソフトウェアに適用し,その結果得られた土地利用図を地権者に示した.この土地利用図への同意が,ステップ(2)で最初に示された土地利用図よりも多くの地権者から得られることを確認した. (4)以上の過程で,より汎用性のある一般化されたシステムに向けて整備するために必要な条件を明らかにし,それをデータベースの構造とアルゴリズムに反映した. 以上によって完成したデータベースおよびソフトウェアを,市町村の現場での使用に適するようにユーザー・インターフェースを改良し,実用的なシステムとして構築した.
|