研究課題/領域番号 |
04556042
|
研究種目 |
試験研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎獣医学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 迪雄 東京大学, 農学部, 教授 (30011943)
|
研究分担者 |
松山 茂実 東京大学, 農学部, 助手 (80219526)
西原 真杉 東京大学, 農学部, 助教授 (90145673)
東條 英昭 東京大学, 農学部, 助教授 (20041668)
舘 鄰 (舘 隣) 東京大学, 農学部, 教授 (30011711)
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
16,300千円 (直接経費: 16,300千円)
1994年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1993年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1992年度: 10,900千円 (直接経費: 10,900千円)
|
キーワード | トランスジェニックラット / ヒト成長ホルモン / ヒト成長ホルモン受容体 / 乳清酸性タンパク質 / 性成熟 / 糖尿病 / ハイブリッド / 成長ホルモン / 乳清酸性タンパク / 成長ホルモン受容体 / 生殖周期 / 代謝 |
研究概要 |
ヒト成長ホルモン(hGH)遺伝子は、世界で最初のトランスジェニック(Tg)動物作成にマウスで用いられて以後、ブタ、ヒツジなどの大型家畜にも用いられ、Tg動物作出用の導入遺伝子としての情報が最も蓄積しているうえ、hGH遺伝子導入により、大型化・脂肪分の少ない筋肉の発生が生じるなど、形質転換による有用家畜生産という側面においても最も注目される導入遺伝子の一つである。ところが、hGHを導入した動物の全てが有用形質を発現するわけではなく、hGHの生理作用が発現しない場合、発生異常、生殖能力欠如、糖尿病の発症する場合など実用的には大きな問題を抱えている。本研究では、このような問題の原因・解決法に取り組み、以下に示すような研究成果を得た。1)プロモーターを選択し、hGH遺伝子発現を臓器特異的なものにすることにより、有用形質発現という目的の達成が可能になるという考えのもとに、特に乳牛においてその有用性が期待される乳腺特異的プロモーターとされる乳清酸性蛋白質(WAP)プロモーターの支配下においたhGH遺伝子を導入したマウスおよびラットの作出に成功した。2)WAP-hGH遺伝子Tgマウスを泌乳能力の高い系統であるICR系と交配し、ハイブリッドの子孫を得た。さらに、それらの子孫をICRの雄マウスと交配させ、妊娠、分娩させた結果、乳汁に生物活性を有するhGHが分泌されることが確認された。これらマウスにおける肥満・糖尿病・生殖異常の原因について、免疫組織化学的手法を駆使して下垂体・性腺・副腎・乳腺などの興味深い異常を発見した。また、雌Tgマウスでは、12週令頃より乳ガンが多発し、乳腺組織で、MMTV、EGFおよびTGFαの高い発現が観察された。さらに、雌Tgマウスは、生後約8ケ月頃より急速に老化が進み、短命であり、老化の研究に極めて有用なモデルであることも明らかとなった。3)本研究では、生殖生理学・内分泌学のモデル動物としての地位を確立しているラットにおいてもWAP-hGH遺伝子導入に成功した。高レベル、低レベルのhGHを血中に分泌する2系統のTgラットが得られ、高hGH系統では骨格の伸長・性早熟・不妊などが特徴的であり、低hGH系統のラットについては、高血糖・インスリン抵抗性が観察される糖尿病の有用モデル動物となることなどが明らかとなった。4)hGHは、マウス・ラットにおいてはプロラクチン作用も有するなど導入された側の動物の受容体が必ずしもhGHのようなヒト遺伝子の産物に対応しておらず、このようなリガンド・レセプターの不整合性がhGH遺伝子の家畜への応用を難しくしていると考えられる.本研究ではリガンド・レセプターの整合性を考慮し,hGH受容体遺伝子を導入した動物とhGH遺伝子導入動物とのハイブリッド個体の作出を試みた.現在までに、メタルチオネイン遺伝子プロモーターとhGH受容体遺伝子を連結した導入遺伝子作成が完了し、さらに、そのTgラット作出作業が進行中であり、hGH-Tgラットとのハイブリッド個体作出およびその生理機能解析の早急な検討を計画している。
|