研究課題/領域番号 |
04557022
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 芳嗣 東京大学, 農学部, 助教授 (00173922)
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研究分担者 |
横井山 繁行 旭化成工業(株), ライフサイエンス総合研究所, 主幹研究員
倉持 隆司 実験動物中央研究所(財), 免疫研究室, 研究員 (10225253)
伊藤 守 実験動物中央研究所(財), 免疫研究室, 研究員 (00176364)
山田 稔 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (70106392)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
1993年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1992年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | ニューモシスチス・カリニ / ニューモシスチス・カリニ肺炎 / 日和見感染性 / グルカン / アクレアシン / 化学療法薬 / AIDS / スキッド・マウス / 日和見感染症 |
研究概要 |
昨年度我々はβ-1,3-glucan合成阻害薬アクレアシンAがラットにおける実験的ニューモシスチス・カリニ肺炎に対し著明な発症予防効果を示し,副作用も極めて軽微であることを明らかにした。アクレアシンにはその側鎖が異なる様々な誘導体が知られている。本年度はこれらの誘導体のうち、Candidaなど真菌に対する増殖抑制効果がアクレアシンAより勝るアクレアシンDにつき、SCIDマウスモデルを用いて、ニューモシスチス・カリニ肺炎に対する薬効を比較検討した。結果はCandidaに対するin vitro増殖抑制効果の強さとは逆に、アクレアシンDよりもアクレアシンAの方が強いニューモシスチス・カリニ肺炎発症予防効果を示した。更に本肺炎に著効を示すが、副作用が強いため問題となっているサルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤とアクレアシンAとの併用試験をラットモデルを用いて行った。両者の併用による相乗効果は認められなかったものの各薬剤の投与量を軽減させることができた。次にアクレアシン類薬剤による本肺炎発症予防効果の機序を明らかにする目的で、ラットにステロイド剤を投与することによりニューモシスチス・カリニ肺炎を発症させ、その後アクレアシンAを投与した。感染肺を透過型電子顕微鏡により観察したところ、内部に娘細胞を有する嚢子型と思われる虫体は観察されたものの、嚢子壁の特徴である低電子密度のβ-1,3-glucan層の形成阻害が認められた。また、脱嚢後の嚢子、小型の若い栄養型が観察されなかったことから嚢子壁の形成阻害のみならず、増殖も抑制されていると考えられた。また、β-1,3-glucan以外の細胞壁構成多糖を知る目的で、種々の多糖溶解酵素を用いその感受性を検討したところ、細胞壁におけるマンナンの存在が示唆された。宿主には存在しない多糖を標的とすることにより、副作用の少ない、新しいニューモシスチス・カリニ肺炎治療薬の開発に大きく道が開かれたと考えられる。
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