研究概要 |
栄養素摂取量と成人病特に大腸癌の発生との間には関連性があるといわれている。したがって,食事中の各栄養素,エネルギー,食物繊維量を知ることは重要である。しかし,従来の食事中の栄養素測定法は時間と費用がかかり,対象者の多い公衆衛生の場で実際に実施することは困難であった。本研究では,1検体当たり10分位で測定できる元素分析装置CHNコーダーを用いて喫飲食,代弁を試料とし,試料中の炭素,水素,及び窒素量から,食事中の栄養素,エネルギー,食物繊維量を推定する式を作成することを目的とした。 平成6年度は食事,糞便試料の中の炭素,水素,窒素量をCHNコーダーで測定し,公定法で求めた各栄養素,エネルギー,食物繊維量と対応させ,CHNコーダーで求めた炭素,水素,窒素の値から,各栄養素,エネルギー,食物繊維量を推定する式を作成した。その結果,食事中のCHNコーダーで測定した炭素,水素,窒素値から食事中の各栄養素,エネルギーを推定する式は作成できたが,糞便中の,炭素,水素,窒素の値と食事中の食物繊維量との間には一定の関連性を見いだせず,推定式を作成することはできなかった。これは,糞便中に腸内細菌,脱落腸上皮の占める割合が大きい(約50%)ためと考えられた。 以上より,食事中のエネルギー,栄養素の推定は,これら食物中のCHNコーダーで測定した炭素,水素,窒素の値を今回の推定式に代入して求めることができ,またそれだけで十分な結果が得られるものと考えられた。しかし,糞便中の炭素,水素,窒素の値から摂取栄養素,エネルギー,食物繊維の推定はできなかった。
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