研究分担者 |
二宮 鎮男 アロカ(株), 第三技術部, 部長
野崎 士郎 香川医科大学, 医学部附属病院, 助手 (80243773)
平林 浩一 香川医科大学, 医学部附属病院, 助手 (80240894)
千田 彰一 香川医科大学, 医学部附属病院, 助教授 (30145049)
松尾 裕英 香川医科大学, 医学部, 教授 (90028514)
深田 英利 香川医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (20211518)
中島 茂 香川医科大学, 医学部附属病院, 助手 (80172310)
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研究概要 |
結石破砕などに用いられている超音波エネルギーが血栓溶解を増強する可能性があることに注目し,冠動脈内血栓に応用できるカテーテル型超音波振動装置を開発し,臨床応用の可能性を検討することを目的として研究を行った。初年度超音波振動装置を用いてflexibleホーンを振動させた時に生じる高熱を冷却するためのホーン・シース内の冷却水閉鎖潅流回路の開発を行うとともに,超音波照射後の血栓のミクロ・マクロ的変化を調べた。 一方,イヌを用いたin vivo実験では,内膜擦過により大腿動脈に血栓を作成し,これにflexibleホーンで超音波振動を加えるモデルを確立した。2年目は両大腿動脈に血栓を形成し,その下流に電磁流量計を装着してt-PA投与下に,一側には超音波照射を加える実験を行った。その結果,一部の例では超音波照射を加えた側で対照側に比べ早期の血流再開通がみられた。しかしその効果は不安定で,どれ位の音圧エネルギーをどれ位の時間加えるのが最も効率よく血栓溶解増強効果を示すかについて,イヌを用いたin vivo実験を続けていくよりも,in vitroでの基礎的検討を行うことがまず必要と考えられた。そこで,ヒト血液で作成した血栓にt-PAとさらに超音波照射下の血栓溶解増強効果が報告されているコントラストエコー剤を加えて超音波照射を行った。その結果,1MHz,1W/cm^2,30分照射群で対照群に比し,有意に血栓は縮小し,病理組織像ではフィブリン塊中に斑状の空胞が散在しているのがみられ,血栓溶解促進の機序としてコントラストエコー剤のマイクロバブルが血栓内部に穿入していくことが考えられた。この結果をふまえ,in vivoでの実験をあらためて進めているところである。
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