研究分担者 |
坂口 秀弘 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (80253748)
矢野 敏之 熊本大学, 医学部, 助手 (50253729)
津野 恭司 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (40163860)
牛島 一男 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (60136752)
松田 史彦 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (50244140)
田尻 晃彦 熊本大学, 医学部, 助手 (50236527)
|
研究概要 |
救急蘇生用手動体外循環回路内に2個のリザバポンプを並列に組み込み,持続的に静脈脱血ができるようにした。生理食塩水を用いて得られたバイパス流量は,脱血落差のない場合は毎分約2.1リットル,脱血落差を60cmつけた場合には毎分約3.1リットルであった。以上の実験結果を確認後,心停止犬に本法を用い,蘇生効果を調べた。 方法:犬9頭を用いた。麻酔後心室細動誘発カテーテルを左頸静脈から挿入した。左総頸動脈に電磁血流計プローブを装着して総頸動脈血流量を測定した。右大腿動脈に動脈圧カテーテルを挿入した。右頸部の動脈と静脈に体外循環脱送血カテーテルを挿入し,救急蘇生用手動体外循環回路と接続した。 細動誘発カテーテルに交流を通電し,心室細動を誘発し,動脈圧波型が消失したことを確認後手動体外循環を開始した。約30分間の蘇生後電気的除細動をおこなった。自己心臓による血行動態が回復するまで手動式体外循環を継続した後、体外循環を離脱し動物の回復を調べた。 結果:2例では,体外循環回路の一方向弁が閉鎖不全を生じ,バイパス血流量がえられず蘇生できなかった。他の7例では,約1〜1.5リットル/分のバイパス血流量がえられ,神経学的後遺症を残すことなく完全に蘇生できた。一部の動物では,蘇生時人工肺に空気をながした。送血血液のPao_2は40torrと非常にひくかったが,完全に蘇生した。 結語:救急蘇生用手動体外循環法は,心室細動誘発心停止犬の蘇生に非常に有効で,神経学的後遺症を残すことなく蘇生に成功した。また,人工肺の空気による換気でも蘇生結果に差はなく,臨床使用における本法の簡便性が裏付けられた。
|