研究概要 |
膀胱癌の治療計画を決定するたれには,術前の正確な深達度(筋層浸潤の有無及び程度)の診断が不可欠である。しかし,最近の画像診断法の進歩にも拘わらず,これらの診断法による正確な膀胱癌の深達度診断は,いまだ満足できるものではない。そこで我々は,1985年より膀胱癌の正確な深達度判定を得るために,筋層浸潤の疑われる膀胱癌例に対して,膀胱壁全層の針生検を施行し,病理組織学的深達度診断を行っている。また特に最近neoadjurant療法により浸潤性膀胱癌も膀胱保存可能な症例が増えてきており,膀胱保存可能か否かの決定に,膀胱全層生検法はぜひとも必要な検査法となりつつある。1)1985年〜1991年までの間に,膀胱癌例70例に膀胱全層生検を試みた成績では,対象症例の80%に病理組織学的診断に供し得る生検標本の採取が可能であった。しかし,表在性膀胱癌では腫瘍と筋層が連続した標本として採取することができなかった。そこで確実に採取可能な生検針と,自動生検装置を試作開発した。さらに腫瘍接種,出血などの副作用を防ぐためにさらに細い生検針を考察し,また経尿道的に生検可能な針を試作した。2)試作開発した生検針と自動生検装置の性能評価のため,犬と兎の膀胱を用いて試験した。さらに家兎移植膀胱癌モデルを作製し全層生検の試験を行なった。以上より膀胱壁全層生検のための,より細い生検針と自動生検装置を試作開発した。
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