配分額 *注記 |
11,800千円 (直接経費: 11,800千円)
1994年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1993年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1992年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
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研究概要 |
本研究は,複雑な構造を有するマクロリド及びポリエーテル抗生物質の立体選択的合成と微量の海洋産制がんポリエーテルマクロリドのハリコンドリン類の合成を行ない現代精密有機合成化学の進歩に寄与すると共に次代の創薬のための基礎的貢献をすることを目的として行われた。平成4年〜6年の3年間にえられた主な成果は次の通りである。 1.マクロリドの合成:MM2-CONFLEX計算およびNMR精密測定によりセコ酸のコンホメーションの予測し,マクロラクトン化に適したエリスロノリドAのセコ酸誘導体を合成し,これをDMAPで活性化し,定量的にマクロラクトン体をえる方法を確立した。16員環ラクトンのコンホメーション計算とNMRを利用し,立体選択的酸化還元により,一連のカルボマイシン系アグリコン類の合成に成功した。さらに進んで,計算化学により合成計画を立案し,テダノリド合成の鍵中間体の18員環ラクトン誘導体の高効率合成に成功した。 2.ポリエーテルの合成:MPMを活用したテトラヒドロフラン,ピラン環の新合成法を確立し,複雑な構造を有する一連のポリエーテル合成に応用し,イソラサロシドA,ラサロシドA,サリノマイシンの新合成に成功し,さらにリソセリンの最初の合成にも成功した。 3.ポリエーテルマクロリドの合成:海洋産微量ポリエーテルマクロリドの代表的化合物で強い抗腫瘍性を有するハリコンドリンBは極めて複雑な構造を有している。この合成に当り,先ず全体を4つのフラグメントのA,B,C,Dに分け,それぞれを立体選択的に合成したのち,結合反応によりABC,BCD,CDなどの中間体が合成されており,現在,複数の方法により最後の合成がなされている。
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